259.1週間みたいです。

 お義父様と話をしてからアリスを温泉まで送りました・・・

 「カオリ、わかってるわね。」

 「はい、アリスが正妻で、その娘は側室って事ですよね。」

 「そう。それだけは譲れないからね。」

 「わかってますよ。私だってアリスが1番なんですから。」

 ギュッと抱きしめてキスをしましょう。

 「そんなことして、機嫌がよくなるとでも思ってるの?」

 えっ?思ってますよ。だってアリス顔が赤くなってニヤけてるじゃないですか・・・喜んでますよね?

 もう一度しておきましょうか。

 「こういう事されるのは嫌いでしたか?」

 三度目する直前で止めてみましょう・・・

 「べ、別に嫌だって訳じゃ・・・」

 「して欲しいって言ってくれたらもう一度してあげますよ?」

 「・・・して欲しいです・・・」

 可愛いですね・・・何度でもしてあげますよ。今晩は私も温泉に泊まらせて貰いましょう。アリスとふたりっきりです。少しサービスしておかないと後々怖いですから・・・




 翌朝、ニコニコのアリスの見送りで帝国に出かけます。もちろん扉を使ってです。

 「カオリお母さんは新しいママを迎えに行くんだって、ユキもユウゴもお見送りしましょうね。」

 ちょっと、アリス。ユキとユウゴに変なことを吹き込まないで下さいよ。新しいママというのはあながち間違ってませんが・・・言い方です・・・

 ユキとユウゴが変な言葉とか覚えたらどうするんですか・・・



 扉をくぐると、帝国の宿屋です・・・一気に気が重たくなります・・・

 「カオリ奥様、お疲れのようですが大丈夫ですか?」

 「ええ、なんとか大丈夫よ・・・精神的にかなりダメージを負った気がしますが・・・」

 「アリス奥様に何か言われたのですか?」

 まぁ、あなたに言うことではありませんが色々言われましたよ・・・

 「それなりに言われましたね・・・」

 「アリス奥様がカオリ奥様のことを大切に思われているからだと思います。」

 そうですね・・・アリスは私のことを思ってくれてますからね・・・

 「そうね・・・アリスは私のことを思ってくれてるものね。」

 メイドさんに励まされてしまいましたよ・・・

 でも大分気が楽になりましたよ。レイナ皇女でしたか、勉強の為とかそんな理屈は抜きにして貰っちゃいましょう。お義父様からの許可もありますし、アリスも側室ならいいと言ってくれましたからね。



 数日後、皇帝陛下との会食です・・・早い話先日の返事を聞かせろって事なんですけどね・・・

 「それで、考えた末どういう結果になったのだ?」

 「はい、私にはアリスという妻がいますので、側室という形でよければレイナ様を迎えてもいいかと思います。」

 「ふむ・・・レイナ。お前はそれでよいか?」

 「はい、お父様。」

 レイナ様は側室と言うことでもいいと言うことですか・・・大人しそうな感じの娘ですが、猫をかぶってるかもしれませんし要注意です。


 「それで、式はいつにする?」

 「はぁ?」

 「だから式はいつにすると言っておるのだ?」

 「いつって、そんなにすぐにするものなんですか?」

 「めでたい事だからな。1ヶ月くらい国を挙げての式にするか?」

 「いえいえ、ひっそりと身内だけでいいじゃないですか・・・」

 「スズキ卿は私と一緒になるのがお嫌なのですよね・・・」

 えっ・・・そう言うのは卑怯ですよ・・・目に涙浮かべて訴えるなんて・・・

 「いえ、嫌とかではなくてですね・・・」

 「でも、隠されたいのですよね?」

 「そうではなくてですね・・・」

 「私達の事を国の者にも知ってもらって祝って貰いたいのです。ダメでしょうか?」

 涙目で言わないでください・・・

 「えっと・・・1ヶ月は長くないですか?」

 「お兄様の時は2ヶ月くらいでしたっけ?」

 「そうだな、控えめにして貰ったからな。」

 控えめで2ヶ月ですか・・・

 「3日くらいでよくないですか?」

 その後色々話し合いをしましたが、かなり妥協して貰って1週間という事になりました・・・胃に穴が開きそうです・・・



 「そうと決まれば、宿など引き払ってここに泊まってゆくといい。」

 「いえ、さすがにそれは・・・」

 「娘の結婚相手だ。当然だろう?」

 「まだ結婚してませんし・・・」

 「婚約したし、同じようなものだろう?」

 押しきられました・・・1週間で妥協して貰った手前これ以上強く言えません・・・



 はぁ~・・・つかれましたよ・・・家に帰って温泉に入りたいです・・・

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