257.縁談があったみたいです。

 皇帝陛下ににも会いましたし、これで帝国に用はありませんね。このまま扉で帰ってしまえば楽なのですが、商業ギルドの人もいますしね・・・町まで一緒に戻るか、帝都にもう少し用があると言って別行動にするかですね・・・


 「そういえばカオリ様はこの後どうするのですか?」

 「そうですね、もう少し帝都を見て回ろうかと思います。」

 別行動にしてさっさと扉で帰ることにしましょう。そのほうが早くて楽です。

 「そうなんですね。私ももう少しやることがありますので帰りもご一緒出来そうですね。」

 えっ・・・いえ、別行動にしましょうよ・・・でないと早く帰れないじゃないですか・・・


 「何日もかかるかもしれないですよ・・・」

 「大丈夫ですよ。帰りもちゃんとお送りいたしますから。」

 これは1人で返す気がないというやつですか・・・何を言っても無駄なやつですね・・・

 「わるいですね・・・では、2日後に出発することにしましょう。どうですか?」

 「わかりました、では2日後の朝にお迎えに来ますね。」


 はぁ・・・帰りも一緒ですか・・・仕方ないですね・・・




 翌日・・・皇帝陛下より晩餐会への招待がありましたよ・・・さすがに断ってはダメなやつですよね・・・

 「よく来てくれたスズキ卿。晩餐会とは言ってもプライベートな物だ、楽にしてくれてよいぞ。」

 はぁ、プライベートな物ですか・・・皇帝陛下にお妃様に側室?でしょうか・・・王子らしき人が4名に王女様が3人ですか・・・子だくさんですね・・・

 確かにプライベートですが・・・皇帝陛下の思惑がよく分かるプライベートです・・・

 「ご配慮感謝いたします。」

 「なに、昨日も言った通り堅苦しいのが嫌いなだけだ。」

 なんとか帝国に取り込みたいと言ったところでしょうか・・・

 「なぁ、スズキ卿。王国も結婚には寛容な国ではあるが、うちも同様に寛容な国でのう。うちの王子を1人貰わんか?」

 ストレート、ど真ん中で言ってきましたね・・・王妃様がむせてますよ・・・きっと話はしてあったのでしょうがここまで直球勝負に来るとは聞かされてなかったのでしょうね・・・私もビックリです・・・

 なんと言って断りましょうか・・・

 「とても良いお話しですね、でも私はその・・・女性の方が好きでして・・・」

 さすがに女の子同士じゃないといやですなんて言うものの所に姫を出すことはしないでしょう・・・

 「そうか、女性の方が好みなのだな・・・確かにそう言ったものもおるな。では家の3の姫はどうだ。年も近かろう?」

 どうやっても私と結婚させたいようですね・・・3の姫は・・・結構可愛いですね・・・目が合いましたね・・・そこで頬を赤らめますか・・・嫌がって下さいよ・・・非常に断りにくいじゃないですか・・・

 「王国の第3王女と結婚しておりますし、帝国ともというのは・・・」

 「わしは構わんぞ、卿のおかげで王国ともよい関係が築けそうだしな。レイナもそれでよいな。」

 「はい、お父様。」

 レイナというのですか・・・可愛いのですが、もう結婚する流れになっちゃってますが・・・まずいですよ・・・

 「王国で、1度話をしてから後日と言うことで・・・」

 「そうか・・・ではレイナを連れて行くとよい。もしダメであれば教会にでも放り込んでくれていい。」

 教会って・・・修道女になれって事ですか・・・ダメじゃないですか・・・それって断れないやつでしょ・・・

 「そ、そうです。砂漠を越えるとなるとかなり大変ですので王女様にはかなりきついのでは?」

 「前回帝国に来た際には幼子も一緒だったと聞くがどうなのだ?」

 うちの娘は子供より体力が無いのかと言っているのですね・・・ええ、快適な車で来ましたからね・・・砂漠を越えるなどたいしたことはないですよ・・・断る理由がどんどん消えていきますよ・・・

 「こういった事はお互いの気持ちも大切だと思うのですが・・・」

 「お互いの気持ちか・・・政略結婚など当たり前だと思うがな、レイナはスズキ卿のことをどう思う?」

 「はい、とても素敵な方だと思います・・・」

 外堀はほぼ埋まりましたね・・・どうやって断りましょうか・・・このままずるずると結婚してしまったらアリスに何を言われるか・・・いえ、嫌われたりするのはいやですよ・・・

 「1度家族と話し合った後ではいけませんか?新しく家族となるのならそう言ったことも必要だと思うのです。」

 「ふむ、家庭内不和か・・・」

 「あなた、侯爵様に無理を言ってはいけませんわ。」

 王妃様、いいこと言ってくれますね・・・これでなんとか助かりそうです。

 「しかしだな・・・」

 「侯爵様、可愛い子には旅をさせろと言うではないですか。レイナを王国に勉強に行かせたいのです。これと言った知り合いがいるわけでもないので1年ほど預かってはくれませんか?」

 搦め手ですか・・・皇帝陛下よりよっぽどやりにくいですよ・・・


 なんとか数日待って貰えるようにしましたが、アリスになんと言って説明すればいいのでしょう・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る