256.引き抜きがあるみたいです。
「皇帝陛下にお会いになるのですから、しっかりしたドレスにされた方が良いかと思います。」
しっかりしたドレスですか・・・一応仕立てたものが何着かありますが、どれにしましょうか・・・いつもならアリスにお任せで選んでもらうのですよ・・・
「どの色がいいと思います?」
「カオリ奥様であればどれでもお似合いかと。」
そういうことを聞いているのではないのですよ・・・優柔不断なところがあるので、決めてほしいのですよね・・・
「それじゃあ、こっちの赤色とそっちの青とどちらがいいと思う?」
「そうですね・・・青色の方がお似合いかと。」
そうですか・・・では青色にしましょう。どうせ着付けも手伝ってもらわないといけないですからね・・・
「アクセサリーなんかも併せて選んでおいてくれると助かるのだけど、任せてもいいかしら。」
「承りました。」
よろしくお願いしますよ・・・アリスにメイドさんを借りておいて正解でした・・・こう言ったことは元王宮メイドですからしっかりしているのですよ。
翌日も、ダラダラ過ごしましたよ・・・帝都と言ってもあまり見る所がないのですから・・・家でゴロゴロ、ダラダラしていた方がいいじゃないですか・・・
領主の仕事ですか?ギャリソンに任せてますよ。不都合があれば連絡があるはずです。ないということは大丈夫ということです。サボっているわけではありませんよ。本当に・・・
朝早く起きて、着付けですね・・・軽く食事だけはとりますが、私の作った服ではないのでお腹の辺りが結構締め付けられます・・・これだからコルセットというやつは・・・言っておきますが、それほどスタイルが悪いわけではないですからね。この世界の流行が腰の細いドレスなだけです。必要以上に締め付けるのです・・・絶対体に悪いですよ・・・
「カオリ様、お迎えにって・・・ドレス持ってきていたのですか?」
「アイテムバックに最低限のものくらいは入れてありますよ。」
「なるほど、貴族ですものね、ちゃんと用意はしてあるということですか。さすがですね。」
家に取りに帰っただけです。空間収納に入れるスペースは十分にありますが必要のないものは入れてませんよ。ドレス?必要ないでしょ・・・
皇帝陛下に会うために城に行くのですからそこそこの馬車を借りてきているのですね。ところで貴女も行くのですか?あぁ・・・お城までの案内役ですか。
王都のお城と大して変わらない大きさですね。どこの国も大差ないということですか。お城の中もなんとなく似たような感じです。豪華に作ると言っても、どこか似たような感じになるのですね。うちのお城はどちらかといえば近代のお城ですから、随分と違っていますよ。何と言っても冷暖房完備です。
簡単ですが、作法は習ってきました。よほどのことがない限りボロが出るとかはないでしょう。コトハには私の護衛ということもあるので、近くにいてもらいます。
非公式の場ということもあって、謁見の間ではなく応接室のようなところで会うようです。ちょっと楽になりましたね。普通のお話でいいようです。
「そなたが、スズキ卿か。」
「はい、皇帝陛下。お目にかかれて光栄です。」
確かこんな感じで挨拶しろと言われましたね・・・間違っていたら悲しいです・・・
「ふむ、今回は非公式ゆえ、堅苦しい喋り方は抜きで良いぞ。わしも畏まったのは苦手でのう。」
「ご配慮ありがとうございます。」
助かりました・・・私がこう言った喋り方が苦手なのが解ってしまいましたか・・・にわかですからね・・・
「スズキ卿が作った自動車というもの。あれはなかなかに便利なものだのう。」
「有難うございます。王国では馬車よりもこちらが主流となっていまして、流通はかなりよくなっております。」
「なんと、王国ではこれが一般にも普及しておるのか?」
「はい、商人なんかはほとんど自動車を使っております。」
「この自動車を使えば、王国との間にある砂漠も越えられるのか?」
「今、帝国で流通している自動車では結構大変かと思いますが、無理ではないです。」
「そうか・・・」
何をかんがえているのでしょうね・・・戦争なんか考えているのであれば潰しますよ・・・
「もう少し自動車の完成度が高くなれば、交易も難しいものではなくなりますね。」
「そ、そうか・・・」
これは交易ではないことを考えていましたか?
「のう、スズキ卿。帝国に来ぬか?」
勧誘ですか・・・でもダメですよ。一応王族ということになっているようですから。
「ご存知かと思いますが、私は王国の王女殿下と結婚しておりますので、帝国に来ることはありません。」
「うむ、そうであったのう・・・もし気が変わればいつでも来るといい。」
気が変わることはないですよ・・・
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