208.至福の時だったみたいです。
そろそろ、港町のテコ入れも始めないといけません。どうやら海賊騒ぎで町を出ていった人たちが帰ってきている様子なのです。
町に対して復興支援としていくらか出資していますが、船などを作るには時間もかかります。私が行って作ったほうが早いでしょう。アリスもこのくらいのことであれば許してくれると思います。
「港町も人が戻って来たみたいだし、復興の支援を行おうと思うの。」
「そうね、領地の主な産業は漁業なのだし、早めの復興は必要だと思うわ。」
「それでですね・・・」
「無理、無茶はしないこと。いい?」
やっぱりアリスはわかってくれてますね。さすがです。
せっかく港を作ったのですから、お城から船で向かいましょうか。あまりに大きな船で乗り付けるのは、海賊騒ぎもあったのでやめたほうがいいですか・・・そうですね、今回はやめておきましょう。
ということで今回は自動車を使って港町まで行くことにします。行くのはいつものメンバーですね・・・一日あれば十分着きます。明日の朝にでも出発することにしましょう。
港町と、私たちのお城を簡単に行き来できるように小型船を用意しておくといいですね。大きな船である必要はないですからね。
「ねぇ、アリス。港町とお城の行き来が楽になるように小さめのボートでも作っておこうと思うの。どうかなぁ?」
「小さめのボート?」
「ええ、10人くらい乗れればいいくらいのボートです。」
「そうね、あの船で港町に乗り付けるのはどうかと思うし・・・小さなものならいいかもしれないわね。」
アリスから許可も出ましたし、どんなのを作りましょうか・・・ヨットの様なものがいいでしょうか・・・風魔法で、自由に帆に風を受けられる様にすれば、風を気にせず走らせることができますね。
そんな感じでヨットを作ることにします。ヨットって確か船底に大きなバラストがついてるんでしたよね・・・大きな台と一緒に作らないと傾いてしまいます・・・あとは、ヨットってマストがやたら大きかった気がします。まぁ、なんとかなりますね。
材料は、木と布、あとは・・・ワイバーンの骨とかも入れておきましょう。キール(竜骨)なんてものがありますから・・・
魔力の運用を覚えてからは時間がだいぶ早くなりましたね。それに私の体にかかる負担もかなり減りました。そこそこ大きなものですが、今日の夕方くらいまでには出来上がりそうです。
「カオリ・・・小さめのボートとか言ってませんでしたか?」
なんかアリスが怖い顔で睨んできますよ・・・確かに目の前にある繭は高さが50mはあると思われる大きな繭です・・・バラストと、帆の大きさを考えるとそれほどの大きさじゃないんですけどね・・・
「帆が大きいだけです、船自体はそれほど大きくはないんですよ。大きく見えるだけです。」
ちゃんと説明して、地面に完成予定の絵まで描いて大きくないことをアピールしましたが、実物を見るまでは納得してもらえない様です・・・
「船の下に着いてるあれは何なの?」
それほど大きな船でないことがやっとわかって貰えたようで、今はヨットについての説明です。バラストがめずらしいみたいです。
「バラストと言って、船の安定性を高める物なんです。詳しいことは私に聞いてもよく分かりませんからね。」
確か、大きな帆でバランスを崩さないように下におもりを付けてるんですよね?違いましたっけ・・・
「それにしても大きな帆ね。」
「そうですね、作った私が言うのも何ですが大きいですね・・・」
「この船はどの位の速度が出るの?」
「あの船と同じくらいは出ますよ。」
「この船もあんなに速いの・・・」
船自体は小さいですから体感速度は上がるでしょうね・・・
「船が小さめなので、あれよりももっと早く感じるかもしれませんね。」
「カオリの作る物はとんでもない物ばっかりね・・・」
ひどいですね・・・この船は風魔法で走るようにしましたが、同じものを作って貰えればそれなりの性能の船になるはずですよ。船の設計がいいだけです。
ついでなので、この船に名前を付けましょう。いい名前はないでしょうか・・・アリスを見ていて良い名前を思いつきました。
「この船の名前は、「ローリングサンダー」にしましょう。」
「ローリングサンダー・・・いい名前だと思うわ。なんか早そうな名前ね。」
さすがに名前の由来は言えませんが、雷鳴ですからきっと早いのでしょうね。
ついつい口ずさみそうになりますが、歌は下手なのでここでは歌わないようにしましょう・・・
ヨットをしまって、今日はこれでおしまいです。部屋でゆっくり休みましょう。
久しぶりにイロハの耳かきを堪能しました。アリスが竹の耳かき棒を不思議そうに見ていたので、イロハに言ってアリスの耳かきもやってもらいました。
どうやら至福の時だったらしいです。これからはマッサージと耳かきをセットでしてもらうそうです。
耳かきはあまりやり過ぎるとよくないですよ。イロハは褒めると毎日でもやりたがりますから・・・
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