206.使徒になったみたいです。
王都の孤児院を見てから、アリスとしばらく町中を散策します。
いわゆるデートというやつです。アリスにとっては、2人で出かけるということが重要なようで、場所なんかはどこでもいいそうです。アリスが喜んでくれるならそれでいいのですが・・・
色々と店に入ってみたり、お茶したりと楽しい時間を過ごした後、領地に帰ることにします。夜はゆっくりしたいですからね。
孤児院も見てきましたし、これでいつでも孤児院を建てることができますね。教会の仕上げをしてから、孤児院の模型でも作りましょう。
ちょっと忙しい感じもしますが、領地の為と割り切りましょう。先に苦労するか、後で苦労するかの違いだけです。私は夏休みの宿題は先にやってしまうタイプなので、早めに教会なども終わらせてしまいたいですね。
「かなり立派な孤児院にするのね・・・」
模型を作っていたらアリスに声をかけられました・・・そんなに大したものは作っていないつもりなのですけど・・・大きさだって、王都の孤児院と大差ないですし、孤児たちの部屋だって4人部屋にするよう考えてます。
王都の孤児院と違うとすれば、大浴場と、教室を作ったくらいです。確かに建物としては少し大きくなったかもしれませんが基本同じはずです・・・
「そこまで立派なものではないと思いますよ?」
「お風呂って、貴族階級か、大商人くらいしか使うことが出来ないって知ってた?」
えっ、そうなんですか・・・確かに魔石は高いと聞いてましたが、1回作ってしまえばそれで終わりじゃないですか・・・今後ゴブリンの魔石を大量に使うことを考えればこれもアリかなと思ったのですが・・・
「ダメですか?」
「ダメじゃないけど・・・」
「この際ですからうちの領地ではお風呂を広めませんか?」
その方が清潔でいいと思うのです。各家庭には無理でしょうが、公衆浴場を作るのはアリだと思うのです。
「でも、魔道具も高いし無理じゃないかしら?」
「私が作ればなんとかなりますし、魔石に魔力を補充するのはできる人を探して、商売にしてもらってもいいじゃないですか。」
「まぁ、そう言われてしまうとそうなんだけど・・・」
「なら、大きな温泉のような施設を作りましょう。この領地の観光名所にしてしまえばいいのですよ。ダメですか?」
「そ、それなら・・・」
後少しでOKが出そうです。
「ただでさえ漁業が不審で税収が減ってるんですよ。なんとかする必要があると思うんです。」
「そ、そうね。確かになんとかする必要はあるわね。」
「それじゃあ、どこかいい場所を探して温泉を作りましょう。」
ずいぶん先になるとは思いますが、収入は必要ですからね・・・魔石に魔力を込められる人を探すのも必要です。
孤児院の方はお風呂付きでもいいということになりました。今回作った模型通りで建てましょう。とりあえず明日は司教様に教会の受け渡しですね。
なぜこうなったのでしょうか・・・教会の受け渡しをしようと司教様に会いにきたのですが、教会の人総出で私の前にひざまづいてるのですが・・・
「あ、あの・・・司祭様、これはどう言うことなのでしょうか・・・」
「女神様から信託がありました。カオリ様は女神様の使徒なのだと。」
はぁ・・・あの女神様何言ってくれてるんですか・・・使徒ってなんですか・・・謎の生命体ですか、人類の敵ですか?やめてほしいです。
「それは何かの間違いでは・・・」
「いえ、私たち全てが同じ信託を受けました。それに女神様の仰ることに間違いなどありません。」
あっ・・・そうですね、宗教ってそういうものですね・・・
「このことは、王都の教会にも伝えたのですか?」
「はい、昨日早馬を出させていただきました。」
「アリス・・・どうしよう・・・」
「いつもやらかしてるツケが回ってきたんじゃないの?それに、女神様が仰ってるのでしょう?」
やらかしてるって・・・これから私はどうなるのでしょうか・・・
とりあえず、王都に向かった早馬は私が自動車で追いかけてそこで止めました。王都の教会などに知れたら大変なことになります。
教会関係者にはこのことはここだけの秘密だと、言い含めました。そうでもしないと王都の教会に報告されかねませんから・・・それでもいつまで持つかは解りませんが・・・
司教様たちとのお話で数日費やしました・・・教会の引き渡しどころの話ではなかったですよ・・・あの女神様にはクレームを入れておきましょう。何か要求してもいいレベルです・・・
教会の引越しが終わったら一度お話ししないといけません。
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