191.今度は鉄道みたいです。
商業ギルドで時間がかかってしまいましたが、予定通りガンテツさんの所に行きましょう。しばらく顔を出してませんでしたから、誰だお前・・・なんて言われたらちょっとショックですね・・・
「ガンテツさん、いますか~」
「おう、嬢ちゃ・・・いや、侯爵様だったね・・・」
「ガンテツさん、わざと言ってるでしょ?今まで通り「嬢ちゃん」でいいですよ。」
「そうか、ならそうさせてもらうぞ。それで、今日はどうした?」
「久しぶりにこの町に来たのでご挨拶ですか・・・」
「そうか・・・また変な物でも持ち込んだのかと思ったぞ。」
「変な物って、何ですか・・・」
「嬢ちゃんの持ってくる物は規格外の物ばかりだろ。」
まぁ、結果論ですが、そうですね・・・ガンテツさんにはお世話になってます・・・
「ガンテツさんの知り合いに腕のよい鍛治師はいますか?うちの領地に来てくれるような・・・」
「嬢ちゃんの領地ってかなり遠かったよな?」
そうですね・・・ここから1ヶ月ほどかかりますから・・・
「結構遠いですね・・・」
「腕のいい鍛治師と言っても得意分野もあるからな・・・何を作るんだ?」
なんと説明するべきでしょうか?エンジンと言えれば簡単なんですけど・・・精密な筒とそれにピッタリ嵌まる筒ですか・・・
「言葉で言うのは難しいのですが、かなり精度の高い物が必要なんです。」
「細工物か?」
「それとはちょっと違うんですが・・・見てもらった方がいいですかね・・・」
店の前に最初に作った小型の自動車を出しましょう。
「・・・・・・・・・・」
「これなんですが・・・」
「なぁ、嬢ちゃん。これのどこが精度が高いんだ・・・」
そうですね、外見だけじゃわかりませんね。
「これは自動車と言って、馬無しで走る馬車です。これの動力部分を作ってもらいたいんです。」
エンジン部分を見せましょう。簡単な作りにはしてありますが、どうしてもシリンダーとクランク部分はありますからね。あっ、ガンテツさんが目をキラキラさせてみてますね・・・こういった物が好きなんでしょうか・・・
「こいつを作るのか?」
「ええ、これは私が作った物ですけど、鍛治師の人に同じものを作ってもらいたいんですよ。」
「確かにこれはやっかいな代物だ・・・かなりの腕の鍛治師じゃないと務まらんな。」
そんなにですか・・・もう少し楽な物かと思ってましたがダメですか・・・
「わかった、鍛治師は俺の方で探しておいてやる。」
「本当ですか。」
「ああ、その代わりと言っちゃなんだが、この自動車とか言うものを1台融通してもらうことはできんか?」
欲しいんですか?別に構いませんが・・・やっぱりバラしたいんですよね・・・手をワシワシしてるのがまるわかりです。
「別に構いませんが何に使うんですか?」
「バラして同じものを作ってみる。」
やっぱりですか・・・
「それならこれをこのまま置いて行きますよ。それでいいですか?」
「ああ、無理言ってすまんな。」
「いえ、ガンテツさんにはいつもお世話になってますから。」
一応動かし方とかをレクチャーしておきます。試運転とか出来ないと困るでしょうから。
とりあえず、エンジンの方はなんとかなりそうで助かりました。外側は何とでもなりますし、サスペンションはラッセルさんの所で作ってますから。
上手くやれば、鉄道だってなんとかなるのでは・・・
「カオリ・・・また何か作ろうって考えてるでしょ?」
「えっ・・・そんな風に見えましたか?」
「ええ、顎に手を当ててニヤニヤしてましたから。」
私ってそんな風にしてたんですか・・・いつもですか・・・
「それで、何を作りたいの?もちろんしばらくはダメだからね。」
「えっとですね・・・」
その場で鉄道のことを色々説明することになりました。アリスも、ガンテツさんも食いつきがいいですね・・・アリスは物流や人の流れによる国の活性化ですか。ガンテツさんは・・・なるほどレールの作成には鍛治師が必要って事ですね。
「その鉄道っていうのはカオリが作っている自動車がそのまま使えるの?」
「そうですね・・・そのままというわけではないですが、似たような物ですよ。」
「そうなのですね・・・自動車が軌道に乗ってからですよ?」
「アリス、いいの?」
「自動車が軌道に乗ってからですからね。」
思わず抱きついてキスしちゃいました。
「ちょ、ちょっと、カオリ・・・こんな所で・・・」
あ・・・ガンテツさんもいましたね・・・でも、すごく嬉しそうな顔してますよね。そんなに嬉しかったんですか?家に帰ってからもう一度しましょうか?
そういえばガンテツさんに鳩を渡さないといけません。
「ガンテツさん、前に話していた鳩です。」
鳩を2羽渡しておきましょう。もちろん足には通信管が付けてあります。
「嬢ちゃんと連絡が取れるってあれか?」
「ええ、足に着いている管に手紙を入れて私の所に行くように言ってもらえれば王都の屋敷まで飛んできてくれます。」
「どの位かかるんだ?馬車だと1週間ほどかかるが・・・」
「多分ですが、翌日には到着してると思いますよ。」
「早いな・・・」
「一直線で飛んできますからね。早いですよ。」
「何かあったら連絡させてもらう。」
これでガンテツさんとは連絡が取りやすくなりましたね。何かあったら扉使って来ちゃうんですけどね・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます