075.堕ちたみたいです。

 今日はこれ以上やることはないですね。お店をみんなに任せてちょっと出かけましょうか。え、1人で行くのはダメ?それじゃあ、誰か1人連れて行きましょう。え~っと・・・では、コトハを連れていきましょう。アヤハもイロハも舌打ちしないように。メアリもですか・・・どれだけ私が好きなんですか。

 「では、出かけますよ。コトハいらっしゃい。」

 『はい。ねぇ、かぁさん・・・キクも一緒じゃ駄目?』

 そういえばキクもいましたね。私たちと一緒なら外に出てもいいでしょう。奇抜な格好をしていますが、私がそれを言える立ち場にはいませんし・・・

 「それじゃあ、キクも一緒に行きましょうか。」

 『キクも行ってイイですか?』

 「ええ、大丈夫よ。一緒に出かけましょう。」

 たまには連れ出してあげるのも良いでしょう。今までずっと刀のままでしたからね。

 2人を連れて商業ギルドに行きましょう。別に困ったことがあるわけではありませんが、この辺りの服装について色々聞けることがあるかもしれません。



 先日お店に来てくれた人が受付にいますね。そこに行きましょう。名前はなんと言いましたっけ・・・思い出せませんね・・・そもそも聞いていなかったかもしれないです・・・名札を付けてますね。イザベラさんですか・・・覚えておきましょう。この人はいいお客さんになりそうです。

 「こんにちは。ちょっと聞きたい事があるのだけどいいかしら?」

 「あ、はい。お部屋を用意させていただいた方がいいですか?」

 個室で話さないと駄目な案件かと言うことでしょうか。別に構いませんが、念のため個室にしてもらいましょうか。

 「そうですね、そこまで込みいった話にはならないかもしれないけど、個室でお願いしようかしら。」

 「すぐ用意しますね。」

 奥から鍵をとってきましたね。しっかりとしているんですね。

 「では、こちらへどうぞ。」

 案内されるままついていきますよ。ちょっとした応接室ですね。私の店の応接室もこのぐらいのレベルにした方がいいでしょうか?お茶まで用意してくれるのですね・・・どこかのギルドとは大違いですね。それとも利益に直結することなので対応がいいのでしょうか?

 「この辺りで流通している洋服について色々と教えてもらいたくて。」

 どんな洋服が好まれるかですよ。たとえ、古着が多く流通しているとはいっても流行りとかはあるでしょうから。その辺りを押さえておくのは必要なことでしょう。

 「そうですね、以前もお話ししましたが流通しているのはほとんど古着ばかりです。新しいものは家庭で作られる事が多いですね。」

 そうですか、布地を買っていって家で作るですか・・・確かにその方が安く上がりますからね。それにしてはTシャツは売れていますね。

 「最近こういった服を売り出したんですが、そこそこ売れているみたいでして・・・」

 Tシャツを見せましょう。手持ちにある何枚かを出してみます。

 「作業とかに良さそうですね。動きやすそうですし、子供達に着せても良さそうに見えます。これを幾らで?」

 そうですよね、問題は値段です。

 「1着で銀貨2枚。3着買ってもらえると銀貨5枚です。」

 「安いですね・・・1着銀貨3枚、2着で銀貨5枚でもいいくらいですよ。」

 それはちょっと高めではないですか?新品だからそのくらいでも買う?なるほど、確かにそうかもしれませんね。オープン価格ということでしばらくはこの価格でやりましょう。ある程度落ち着いてきたら、その価格に変えてもいいかもしれません。

 「この辺りでは、どんな服が必要とされていますか?不足している服とかあったら教えてもらいたいのです。」

 そういったのは自分の足で探せといったものですが、聞いて答えが返ってくるのならまず聞くのもありかなと。

 「そうですね、このTシャツですか?これは流行ると思いますよ。作業着としてすごく着やすそうですから。」

 なるほど、しばらくはTシャツ専門店みたいにしても売れると言うことですか・・・


 「この辺りでは制服というのは珍しいんでしょうか?冒険者ギルドでは見かけましたが・・・」

 商業ギルドにはないですよね。そんな言葉を匂わせましょう。

 「そうですね、珍しいというわけではないですが、制服まで用意しなければならない組織が少ないというのはありますね。」

 「なるほど、商業ギルドには制服は不要という事ですか。残念です・・・」

 「えっ・・・」

 その、驚きはなんでしょうか?私がここの制服を作ろうと思ってた事ですか?それとも必要ないといった事でしょうか?

 「先日、レストランの給仕用の服を1着受注しまして制服もいいかなと思ってたんですよ。」

 「わ、私は商業ギルドでも制服が欲しいなぁと思うんですよ。ただ、なかなか予算とかもありますし・・・」

 まぁ、予算とかはあるでしょうからね・・・なかなか難しいところでしょう。

 「そうですね、もしギルドで制服が必要になったら声をかけて下さいね。色々がんばらせてもらいますから。」

 「ええ、それはもちろん。ギルドマスターに掛け合っておきますね。」

 なんで目をキラキラさせてるんでしょうか・・・そこまでうちの服が着たいのですか?でしたら自分で買いに来て下さい。

 「イザベラさんも私服で1着いかがですか?可愛いのを作らせてもらいますよ?」

 オーダーメイドで作ってあげますと臭わせておきましょう。この子はきっと買いに来るでしょう。今、話をしていて確信しましたよ。かなり服に興味を示してますからね。

 「そ、そうですね・・・お給料出たら伺わせてもらいますね。」

 堕ちましたね。お給料日過ぎたら来て下さい。待ってますので・・・

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