038.結構高い剣だったみたいです。

 とある鍛冶屋に来ております。なんか私の剣を金貨100000枚出すから売ってくれなんて言い始めましたよ。

 「はぁ?」

 変な声が出ちゃったじゃないですか・・・

 「やっぱり、100000枚じゃ足りんか・・・200000枚ならどうだ?」

 何かえらい事になりましたが、なんでそんな高い値段がするんですか?そんな価値ないでしょ・・・

 「いやいや、なんでそんな値段なんですか?この剣にそんな価値があるんですか?」

 なんか可愛そうな女の子を見ているような目ですね。気分悪いです。

 「お嬢ちゃん、この剣の価値がわからんのか?自分で作ったのだろ?」

 そんな物の価値なんて解るはずないです。第一この世界の人間じゃありませんし・・・

 「適当に作っただけですから、材料もあり合わせの物でちょこちょこっと・・・」

 間違ったことは言ってませんよね?私が持っていた鉄で作ったのですから。まぁスキルで作りましたし、古龍の鱗もまぜはしましたが・・・そんなことまで解らないでしょう。

 「なぁ、嬢ちゃん。この剣だが、かなり高位の魔物の素材が混ぜ込んであるだろ・・・」

 え、わかるんですか?ひょっとして鑑定とか持ってます?ここはしらばっくれるしか無いですね。

 「さ、さぁ?」

 「まあ、言いたくないのはわかるが見る者が見ればすぐに解ることだぞ。」

 仕方ありませんね、せっかく良い盾を作ってもらえそうでしたがここは諦めましょうか。

 「しかた・・・」

 「なぁ、嬢ちゃん。俺は服に関しては素人でよくわからんがお前さんらが着ている服も魔物の素材が使ってあるのだろ?」

 本当にこの人は自分のペースでしゃべりますね。私の言うことを聞こうとしませんね。

 でも、言ってることはあってますね。

 「まぁ、詳しいことまでは詮索はしねぇ。でもこの剣をお嬢ちゃんが作ったっていうんならそいつについてだけ話が聞きたい。」

 ああ、魔物素材を使った剣だからですか?でも、魔物由来の装備が金貨1000枚くらいでしたよね?普通にありそうな気がしますが、素人の私が作ったことがいけないのでしょうか・・・仕方ありません、話を聞くだけ聞いてみましょう。この人の気が収まればこのまま盾の注文も出来そうですし・・・

 「話せることだけで構いませんか?」

 「ああ、それでいい。」

 あ、店番していた人に店を閉めに行かせましたよ。もう店じまいですか。え、私とゆっくり話をするため?仕事は大丈夫なんでしょうか・・・

 「で、どんな魔物の素材を使ってるんだ。どうやって混ぜ込んでる、どうやって作った?」

 ちょっと、いきなりまくし立てられても答えられないでしょう・・・それに・・・それって全部答えられないんじゃないかな・・・

 「えっと・・・全部答えられないかな?」 

 「それじゃあ、何にもわからんだろ。」

 まぁ、そうでしょうね・・・

 「素材は、鱗ですね何の鱗かってのは言えませんけど。あとは私のスキルでやってることなんで私にも解りませんよ?」

 「はぁ~?スキルだぁ~?」

 まぁ、私のスキルがあったら物づくりしてる人は職がなくなっちゃいますからね。とんでもなくチートです。だから使うのは極力自分のためだけですよ。

 「はい、スキルです。物が作れるスキルですね。勿論材料は必要ですよ。」

 足りない材料があっても作れることは内緒にしましょう。それでなくても十分チートですから。

 「スキルかぁ・・・おそろしく便利なスキルだなぁ・・・」

 「確かに便利ですけどね。時間もかかれば魔力も必要ですから意外と大変なのですよ?」

 別にそれほど大変ではありませんが、アピールは大事です。

 「そうか、時間と魔力か・・・確かに大変かもしれんが破格のスキルだな。その服もそのスキルで作ったのか?」

 「まぁ、そうですね。」

 あ、考え込んでしまいましたね。

 「なぁ、嬢ちゃんは物を作るだけか?直したりすることは出来ねぇか?」

 「多分ですが出来ますよ。欠損部分があった場合、そこがどういった形かを私が解らないと無理ですけどね。」


 「そうか・・・実は折れた剣があってな・・・作り方が俺には全く解らなくて放置してある物があるんだ。それを治してくれるなら今回作る盾の代金はいらねぇ。いや、直せるなら代金も払おう。頼まれてくれないか?」

 はぁ、修理の依頼ですか。折れただけなら形状は解りますし大丈夫でしょう。でもこの人鍛冶屋さんでしょ?作り方が解らない剣ってなに?ひょっとしてあまり腕がよろしくない?でも、盾の代金がただになるなら良いですか。今回は性能よりもデザイン重視ですし。

 「1度物を見せてもらってから決めても良いですか?」

 「そうだな、持ってくるからちょっと待っててくれ。」

 しばらく待っていると長細い箱を持ってきましたね。あれに入ってるのでしょうか。結構豪華な箱のようですが、高価な物でしょうか・・・

 「これなんだがな・・・」

 「ああ、刀ですか。」

 「嬢ちゃん、あんたこれが何だか知っているのか?」

 え、知らないんですか?こっちが驚きですよ。この人鍛冶師ですよね?

 「刀ですよね?違います?」

 「カタナというのか?遺跡から出てきた剣でな。初めて見るし、作り方もさっぱりわからんのだ。」

 遺跡ですか・・・転生者でもいたのでしょうか。どうやらこの世界で刀は殆どないようですからきっとそうなのでしょうね。

 「これなら多分大丈夫ですよ。でも絶対じゃないですからね。壊れちゃうかもしれませんからそれでもよければ引き受けますよ。」

 自分で作った物はなおしたりしましたが他人が作った物を治すのは初めてです。出来ない可能性もありますからね。一応鑑定しておきましょう。バレないようにコソッとです。


 <刀>

 異世界より来訪した刀鍛冶により作られた名刀。コマンドワードで少女の姿に変わる。

 銘:菊一文字則宗


 あ、これ治したらあかんやつですね・・・やっぱり転生者が作った刀です。それも相当こじらせた奴が作ってますね。私もそうそう人のことは言えませんが・・・さて、どうしましょうか。きっと治せるんでしょうね・・・クリエイトオブジェクト、それともクリエイトドール?どっちのスキルを使って直せばいいでしょう・・・

 それと本当に治すかですよね・・・


 やっかいな物を見てしまいましたよ・・・

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