019.色々バレたみたいです。
ギルドにやってきました。せっかくなのでボアとベアを売らないといけませんからね。アリスさんはいますかね・・・1番奥の受付にいますね。今はすいているようなので受付に並びましょう。
「カオリさん、今日はなにか依頼をお探しですか?」
「いえ、ボアとベアを買い取ってもらえないかと思って持ってきたんですよ。」
「えっと、ワイルドボアとワイルドベアですか?」
「はい。ワイルドボアとワイルドベアです。」
「ワイルドベアは危険だからパーティーを組んでと言ったはずですよね?」
「えっと、私たち3人ですが、パーティーにはならないですか?」
「確かに3人ですけど、みんな先日登録したばかりですよね?危険だと思わなかったんですか?」
「ワイルドベアは成り行きで倒しただけなんですけど・・・」
「はぁ・・・成り行きで倒せるほどワイルドベアは弱くないですよ。初心者の登竜門的なものですよ。で、何処においてあるんですか?」
「私の収納の中に入れてありますけど・・・」
「・・・何処に入れてあるって言いましたか?」
「ですから私の収納の中に・・・」
「カオリさんあちらでゆっくりお話をしませんか・・・」
え、アリスさん怒ってる?なんで、私何かいけないことしましたか?そんなに怖い顔しないでください・・・
私たちは別室にドナドナされていきました・・・
「カオリさん、収納持ちなんですか?」
開口一番収納持ちかと聞かれましたよ。珍しいのでしょうか、別室に連れてこられる辺り珍しいのでしょうね。
「え、ええ。持ってますが何か?」
何か困った顔してますね・・・どうしたのでしょうか。
「カオリさん、いいですか。収納持ちというのはものすごく珍しいんです。それは何万人に1人いるかどうか位に。」
「そ、そんなに珍しいんですか・・・」
「そ・れ・で・です。どの位の容量なんですか?それによってギルドでも色々お仕事を頼むかもしれませんから。」
「さぁ?」
「さぁ?って・・・どれだけ入るかわからないんですか?」
「今はとりあえずワイルドボアとワイルドベアが入ってますがまだ入りそうですよ?」
「一度自分の収納の中を意識してみてください。どの位の広さがあるかって、そんなことをイメージしながら。」
そうやってイメージすることで入る量がわかるようになるんですね。イメージしてみましょう。
ん?んんん・・・ん~~ん・・・
「カオリさんどうですか?」
「あはは、わかんないですね・・・なんかず~っと向こうまで続いているみたいで端が見えない感じ?」
「なんですか・・・それ・・・実のところ私も収納持ちなんですけどね・・・」
「え、すごいじゃないですか。何万人に1人なんでしょ?」
「量が問題なんですよ。私のは30センチ四方くらいですから、大事なものを入れておけるくらいですよ。とても収納持ちだなんて言えません・・・話を聞く限りではカオリさんのそれはどれだけでも入りそうですね。」
「まぁ、確かに上限はわかりませんけど・・・」
一度どれだけ入るか試しておくべきか・・・
「あ、そうだ。収納のスキルを鑑定してみればいいんじゃないですか。」
「・・・カオリさん・・・まさかとは思いますが、鑑定もお持ちですか?」
え、まさか鑑定も珍しいスキルなんですか?これって絶対まずい案件ですね・・・今更とぼけるのは無理でしょうか・・・そうですね、このいやーな間が持ってますと言っているようなものですね・・・諦めましょう・・・
「はい・・・持ってます・・・」
「わかりました。もういいです。カオリさんだからって事で諦めます。」
ちょっと待ってください。そのカオリさんだから諦めますって何ですか・・・私がこれからもやらかすこと前提な諦め方ってどうなんですか・・・
「それで、どうなんですか?鑑定結果が聞きたいですね・・・」
待ってください、アリスさん目が怖いです。笑ってませんよ・・・
では鑑定してみましょうか・・・
・・・鑑定 空間収納・・・ブツブツと小声で言いましょう。聞こえるとまたどんな顔されるかわかりませんし・・・
<空間収納>
異次元に無限の収納空間を作ることが出来る。空間内の時間経過は収納時に任意に決めることが出来る。収納するときと取り出すときは使用者が意識するだけで行える。
かなりヤバいやつですね・・・どの位の広さと言っておきましょう・・・10メートル四方と言っておきましょうか。
「アリスさん、わかりましたよ。10メートル四方くらいのようです。」
「嘘ですね・・・先ほど端が見えないと言ったじゃないですか。10メートルくらいなら十分見えるはずです。」
「えっと、20メートル位かな・・・」
嫌な汗が流れるのがわかりますよ。これは逃げられないやつですね・・・きっと本当のことを言うまで返してもらえないやつです。それも何を言っても嘘だと言われ続けるやつですね。アリスさんの求める答えを出すまでは・・・
「・・・・・・・・・・」
やっぱりそうですね・・・
「アリスさん、他言無用でお願い出来ますか?」
「ええ、きっと誰かに言っても信用出来ない位なんでしょ?でも、ギルマスには伝えますよ。」
「わかりました。で容量ですけど、無限だそうです。収納限界無しって事みたいです。」
「そうですか・・・カオリさんだから仕方ありませんね。ギルマスにもそう言って報告しておきます。」
カオリさんだからで終わってしまいましたよ・・・悲しいです。
「カオリさんは、冒険者をやるより商人向けですね。馬車も無しに荷物を運べますから。ある程度の量の収納を持っている人は冒険者なんかにならず商人を目指しますからね。」
ああ、そういった方法がありましたか・・・商売なんかする気が無かったので考えてもいませんでしたね。
「冒険者やめて商人になれと?」
「いえ、そこまでは言ってませんよ。でも、冒険者をやりながら商売も出来るのではと言ってるんです。ここを拠点に色々な町を旅しながら商売をするというのはどうでしょう。もちろんギルドの荷物を最優先で運んでもらえると嬉しいのですが・・・」
ああ、そういうことですか。ギルドの運び屋になれと・・・でもそれだと商業ギルドにも登録しないといけないのでは?
「では、商業ギルドにも登録しないといけませんね。」
「いえ、大丈夫ですよ。カオリさんはあくまでも冒険者ギルドの運送業務を手伝っているだけです。その際に他のことをやっていただくのは構いません。もちろん何かあったときのバックアップは冒険者ギルドが請け負います。」
面倒ごとは冒険者ギルドがなんとかしてくれると、だから運んで欲しいものがあるときはお願いねって事ですか・・・
悪い話ではないですね。ここを拠点にするのも悪くないです。簡単な商売もいいかもしれません。商売が軌道に乗っていい感じになってしまったらそれから商業ギルドに登録してもいいかもしれませんね。
「わかりました。その運送業務引き受けたいと思います。それで、依頼料とかの話でもしませんか?」
しばらく悪代官と悪徳商人のように話をしたとかしないとか・・・
ワイルドボアとワイルドベアは適正価格で買い取って貰いました。
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