018.イロハが狩りをするみたいです。
朝ですね、朝なんですが動けません。イロハにしっかり抱きつかれてます。イロハは・・・寝てますね。いえ、寝たふりですね。アヤハもイロハも睡眠は必要ないはずです。私と一緒にいたいだけのようですね。
「イロハ、そろそろ起きますよ。いいかげんに離れなさい。」
『は~い・・・』
ちょっと不満そうにしながらも離れてくれます。イロハにも不自然にならないよう食事をとるよう言っておきます。さて、3人で朝食ですね。1人で食べる食事は寂しいものですが、みんなで食べるのはいいですね。アヤハがだんだん感情豊かになってきていることを考えると、しばらくするとうるさいくらいに賑やかになるのでしょうね。楽しみです。
さてと、今日は何をしましょうか?イロハがどの位戦えるのかを見るために森の外縁部まで狩りに行きましょうか?別に私が狩りをするわけではありませんからね、大丈夫でしょう。ギルドで依頼を探す事にします。
ボードを見ると常時依頼でボア素材の納品がありますね。やはりお肉でしょうか?アヤハとイロハに任せれば良さそうですね。これにしましょう。常時依頼は終わってから納品を済ませれば良かったですね。ではいきましょうか。
「イロハ、今日はワイルドボアを狩りに行きますよ。アヤハとイロハに任せますのでしっかり狩ってくださいね。」
『はい、母様。頑張って狩りますね。』
『イロハ、お母様に危険が無いようにしなければいけませんよ。』
おお~、アヤハがお姉さんっぽいことを言っていますね。自覚がでてきたのでしょうか。今夜はいっぱい褒めてあげないといけませんね。
門を出ると、しばらく歩いて森の外縁部までいきます。昨日イロハを創った所から少し行った所です。ここならたいして危なくないでしょう。
「アヤハもイロハもあまり奥に入ってはいけませんよ。危ないですからね。」
2人が怪我でもしたらと思うとあまり奥には行かせられません。私が1番弱いので私が1番危険というのもありますが・・・
『お母様、少し後ろに下がってください。20メートルくらい先にワイルドボアがいるみたいですので。』
えっ、20メートル先って木が覆い茂っていて数メートル先も見えないじゃないの。どうやって見つけたのでしょうか?そういえばアヤハは天眼通というスキルがあったのでしたね。それでしょうか?
「ありがとう、アヤハ。じゃあ、アヤハは私の護衛。イロハはワイルドボアを狩ってちょうだい。素材を納品しないといけないのであまり傷を付けないようにね、出来るかしら?」
『傷を付けないように倒せばいいの?』
ちょっと考えてるようですね。倒し方を考えてるのでしょうか?考えることはいいことですよ。ここはイロハの好きにさせてみましょう。
あ、走って行ってしまいましたね。何処にいるかわかっているのでしょうか?アヤハはわかっているのでしょうけど、イロハもわかるのでしょうか?
しばらく待っていると、大きな鳴き声が聞こえますね、いえ断末魔の悲鳴でしょうか。ワイルドボアのものですよね?一声鳴いたかと思えばすぐ静かになりましたね。どんな戦いがあったのやら・・・
イロハが帰ってきたようです。2メートルはあるようなワイルドボアを担いでますね。器用に前足と後ろ足を持って肩に担いでいますね。何処にそんな力があるのですか・・・
傷がほとんど見当たりませんね、どうやって倒したのか聞いてみましょうか?
「イロハ、お手柄でしたね。どうやって倒したのかお母さんに教えてもらえますか?」
もうこれから自分でお母さんと言ってしまいましょう。いいです、私はこの子達のお母さんです・・・たとえ未婚でもです。
『はい、母様。せっかく母様にもらった剣を汚したくなかったので正面から殴り倒しました。』
は・・・何を言ってるのでしょうかこの子は・・・正面から殴り倒したですか・・・そう言えばよく見ればワイルドボアの眉間辺りに拳大の陥没痕がありますね。正拳突き一発ですか・・・やりますね・・・じゃなくて・・・
「イロハ、せっかくお母さんがあげた剣があるのですから使ってくださいね。イロハに使って貰いたくって作ったのですから。」
『あ・・・はい。ごめんなさい・・・』
あ、うつむいてしまいましたよ。怒ってるんじゃないんです。そんな意味で言ったんじゃないんですよ・・・
「イロハ、お母さんは怒ってるんじゃないんですよ。せっかくだから剣を使ったイロハも見てみたいかなって。」
『はい!ではもう一匹狩ってきますね。姉様、近くにいませんか?』
『すぐ近くにはいませんね。さっきの物音で逃げてしまったようです。800メートルほど離れますがワイルドベアがいるみたいですよ。』
『姉様、ありがとう!』
あ・・・いってしまいました。ワイルドベア?確かアリスさんが何か言ってたような気がしますが・・・
「アヤハ、ワイルドベアについてアリスさんが何か言っていたような気がするのですが覚えていませんか?」
『ワイルドベアは危険なのでパーティーを組んでいくようにと言ってました。』
そうでした、パーティーを組んでって・・・
「アヤハ、すぐにイロハを追いますよ。」
『はい、でももうすぐ戻ってくると思いますよ。』
え、なんで?逃げてくるのでしょうか、でしたらここで迎撃態勢でしょうか、それともイロハを連れて逃げますか?
「アヤハ、ワイルドベアはどうなったかわかりますか?」
『イロハが担いで・・・帰ってきたようですね。』
イロハが走って帰ってきましたね・・・どうやって持っているかよく分かりませんがでっかいクマ背負って・・・左手に持っているのはクマの首でしょうか?
『母様のくれた剣はよく切れますね、ワイルドベアの首が簡単に落ちたんです。見てください。』
笑顔でクマの首を見せないでください。確かによく切れてますね、一刀両断ってやつでしょうか、切り口が綺麗です・・・
「イロハ、ワイルドベアは危険だって聞いていたので1人で行ってはダメですよ。今回は勝てたからいいですけど、これからは1人はダメですよ。」
あ、またシュンとしちゃいましたよ・・・
「でもイロハが強いのはよく分かりましたよ。今回はよく頑張りましたね。」
ちゃんと褒めておきましょう。立ち直ったようですね、ニコニコしてます。
「では、2匹とも私の空間収納にしまいますからそこに置いてください。」
2匹を空間収納に入れます。手荷物は少ない方がいいですからね。
イロハが返り血で少し汚れてしまいましたね。どこかで洗ってあげないといけませんね。近くに川か泉かはないでしょうか。
「アヤハ、近くに水場はありませんか?安全な所でイロハを洗ってあげないといけませんからね。」
『この辺りにはありません。町に帰ってから浴場に行くかクリーンの魔法を使われるのが良いかと思います。』
「クリーンの魔法?」
『はい、魔法屋で売っていたかと思います。魔力のあるものなら誰でも使える生活魔法だったはずです。』
そんなのがあるのですね・・・それは覚えるべきでしょう。イロハが汚れている分は水筒から水を出して簡単ではありますが拭いてあげましょう。
「では帰りましょうか。ギルドで報告してそのあとクリーンの魔法を買いに行きましょう。」
『『はい、(お)母様。』』
今日の成果は上々でしょう。ワイルドボアとワイルドベアです。いくらになるのでしょう。
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