007.野営をするみたいです。
どうやら商人のようですね、先ほどはよく見えませんでしたが馬車も2台あるようです。護衛でしょうか、軽装の冒険者風?の人も何人か見受けられますね。
こちらを見てますね・・・女の2人旅は珍しいのでしょうか・・・とりあえず声でもかけてみましょうか・・・と思っていたら向こうから声をかけてきましたね。
「お嬢ちゃん達もシーバレンスの町へ行くのかい?」
シーバレンスって何処?と思っていたらアヤハが小声でこれから向かっている町だと教えてくれました。いい子です。
「ええ、そちらもシーバレンスに?」
「ああ、今日はここで野営をするつもりだが、お嬢ちゃん達もか?」
ここで野営をするようですね、ご一緒させてもらえると助かるのだけど・・・大丈夫かしら・・・
「そうね、そのつもりだったのだけどおじゃまかしら?」
お願いだから邪魔だなんて言わないでね。
「別に構わんよ。このあたりにはここぐらいしか安心して野営出来そうな所はないしな。大勢で固まっていた方が魔物も襲ってこないだろうからな。」
「ありがとう、では少し離れた所で野営させてもらいますね。」
道具も何もありませんからね、作る所はあまり見られたくありませんから・・・
こっそりとワイルドボアの皮からコートでも作りますか。アヤハの分とあわせて2着。今日はそれにくるまって寝ればいいでしょう。夕飯は・・・硬いパンと干し肉ですか・・・ワイルドボアの肉を調理という手もありますが、解体できませんし焼くしか調理方法もありません。今回は我慢ですね。
とりあえずアッセンブルオブジェクトを使ってコートを2着作っておきます。ボアの皮をほぼ丸々使ったのですしすぐ完成しますね。やはり素材があると早いようです。アヤハは大丈夫でしょうが私はそろそろ寒くなってきましたしコートを羽織っておきましょう。私だけというのも変なのでアヤハにも羽織らせます。
ちらちらと商人の護衛がこちらを窺っていますがとりあえずは無視でいいですね。もし何か話しかけてくるようでしたら受け答えくらいはしましょう。
あ、来るようですね。ほっておいてくれればよかったんですけど。
「ちょっといいかな。」
腰に剣を下げたおじさんが話しかけてきますね。あまりよくないです。と答えられたらどれだけいいでしょうか。
「はい、なんでしょうか。」
「あんたら、2人だけでガンドレアから来たのか?」
ガンドレア?ちらりとアヤハのほうを伺います。小声で、大きいほうの街です。と教えてくれますね。どうしましょう、町のことを聞かれると何も答えられませんね。少し濁しておいたほうがいいでしょうか。
「ええ、ガンドレアではないのですけど、あちらのほうからですね。」
あちらのほう・・・どちらのほうなんですかねぇ。
「なんか訳アリか・・・まぁ、メイド連れての旅だしなんかあるんだろうな・・・よかったらお前さんたちも一緒にどうだ?大した旅支度もなさそうだしな。」
おお、いい人みたいですね。確かに何も支度はしていませんでしたね。コートも作りましたしご一緒してもいいかな?
「お邪魔になりませんか?」
「あんたら2人増えたところで大したことはないからな、依頼主もいいと言ってくれてるし大丈夫だ。」
もう、商人の了承済みですか。ではお邪魔しましょうか。正直ちょっと寒いです。
「では、お言葉に甘えさせていただきますね。わたしはカオリ、この子はアヤハです。よろしくお願いしますね。」
「ああ、荷物まとめたら来るといい。依頼主に紹介するよ。」
これで寒い思いをせずに済みますね。商人さんには感謝しかありませんね。
商人さんはラッセルさんというそうです、ガンドレアに店を持つ商人さんのようでシーバレンスには買い付けに行くのだそうです。
軽く挨拶をして焚火に当たらせてもらうだけのつもりでしたが護衛の人たちが結構食いついてきますね。2人だけで旅をしてきたのがやはり珍しいようです。ここは街道とはいえそこそこ魔物や盗賊なども出るそうで、移動には護衛は欠かせないそうです。そんな中を女2人での旅など以ての外だそうです。
まぁ、アヤハがいるのでよほどがない限り大丈夫でしょう。でも、大勢で襲い掛かられたら危なかったのでしょうか。やはり3人創ってからの移動が正解だったのでしょうか今更ですけどね。
護衛の人たちは4人組で男女2人づつでパーティを組んでいるとのこと。女性陣2人が私のドレスをガン見してきますね。がっつり趣味に走りましたからね。
当たり障りのない話でそらしましょうか。アリシアさんでしたっけ18歳くらいでしょうかちょっとお姉さんっぽい人ですね。この人に声をかけましょう。
「あの、シーバレンスの町について教えてもらってもいいでしょうか。」
「え、ええ。いいわよ、何が知りたいの?」
一瞬目をそらしましたね、ずっとドレスをガン見してましたからね。
「シーバレンスの町には初めて行くので勝手がわからないんですよ。着の身着のまま出てきたんで持ち物もそんなにありませんし。」
さっきのおじさん、ガンツさんといいましたか。あの人から訳ありっぽいことは聞いているのでしょう。もう、訳ありの2人で通しましょう。いろいろ訳ありすぎて話せないことだらけではありますからね。
「ああ、そういうことね。あなたたち身分証は持ってる?市民票とかギルドカードとかね。」
そんなのがあるのですね、それがないと町に入れてもらえないとかでしょうか。困りましたね。
「いえ、持ってないですね。やはり無いとまずいですか?」
「そうね、身分証がないのなら通行料を取られるわね町に入るのに1人銀貨1枚。それと入り口で犯罪歴がないか調べられるわ。まぁ、あなたみたいな子が犯罪とかありえないでしょうけど。それと身分証がないなら冒険者ギルドか商業ギルドあたりで発行してもらえばいいわ。」
「ギルドに登録するのですか?それは誰でもできるのですか?」
私は大丈夫でしょうがアヤハがどうなのでしょう。最悪人形だといって持ち物扱いでしょうか。
「もちろんよ、確か登録料が銀貨2枚だっけ?」
「いや、今は1枚になったそうだぞ。ギルドも人手不足だからな登録料を安くして裾野を広げたいんだろうよ」
ギルさんでしたね。低音のイケメンボイスですね。趣味ではありませんが。
「とりあえず銀貨4枚必要ってことですね。」
女神様がくれたお金があるので、大丈夫ですね。
ああ、まだこちらを見てる女の子がいますね。確か魔術師のリリさんでしたね。
「えっと、リリさんでしたっけ?さっきからずっと私のことを見てらっしゃいますけど何かありましたか?」
あまり見られていても気になるだけです、こっちからつっこみましょう。
「え、えっと・・・その・・・かわった服だなって思って・・・その、気になったものだから・・・」
ああ、やっぱり服ですか。
「あ、やっぱり気になりますか・・・まともに着られる服がこれくらいしかなかった物ですから・・・」
「ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃなくて・・・その・・・ごめんなさい。」
あ、黙っちゃいましたね。悪いことしちゃいましたかね・・・仕方ないですね。
その後は、町のことを色々聞きましたよ。何処の宿屋が良いとか、あそこの武器屋は質が悪いとか・・・
遅くなってきたので少し離れて寝る事にしましょう。
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