008.町に着いたみたいです。

 『お母様、お願いがあるのですがよろしいでしょうか。』

 アヤハがお願いですか、何でしょうか。

 「なんですか。私が出来ることなら何だってしてあげるから言ってみなさい。」

 『はい、魔力を供給して欲しいのです。まだ大丈夫だと思いますが、1日動いて魔力も少し消費しましたから。』

 魔力の供給?アヤハは魔力で動いてるんですね。どうやって供給するのでしょうか。本人に聞いてみるのがいいでしょうか。

 「どうすればいいの?」

 『私の体に触れて魔力を送って下されば大丈夫です。』

 魔力を送るってのがよく分かりませんがやってみましょう。人形を作るときの要領でやってみますか。修理ではありませんがエネルギー補給ですね。

 「じゃあ、アヤハこっちに来なさい。」

 私は木の根元に腰を下ろすとアヤハをよびます。そのまま隣に座らせるとぎゅっと抱き寄せるようにして魔力を送ります。

 「どう?ちゃんと魔力は行ってる?」

 『はい、お母様の魔力とっても暖かくて気持ちいいです。』

 暖かいんですか。よく分かりませんが気持ちよいなら大丈夫でしょう。しばらく抱っこしてあげましょうね。


 どうやらそのままウトウトしてしまったようで気がつくと朝でした。アヤハは私が寝ている間ずっと辺りを警戒してくれていたようですね。



 さて、出発です。どうやら隊商について行っても良いそうです。女2人での旅は危ないのでついてくればいいとのことです。馬車の速度に合わせるので多少遅くはなりますが、それでも今日の夕方にはシーバレンスに到着するそうです。

 途中何度か休みを挟みながら町に向かいます。何度か魔物に襲われはした物のワイルドボア程度なのでたいしたことは無いそうです。これがゴブリンとかが出ると大変なのだとか、最弱モンスターとか思っていたのですが人里近くに出没するのがまずいようでそんなことがあると大がかりな討伐隊が組まれるそうです。RPG的にはスライムと並んで最弱なんですけどね・・・ちなみにスライムは可愛くないそうです。汚物のような感じで特に女性には嫌われているそうですね。



 おおぉ~壁が見えてきましたね。そこそこ大きな町のようです。ガンツさん曰く身分証の無い人は入り口が違うそうで、指を指して教えてくれます。もう少し町に近づいたら彼らとは別れてそちらの入り口に向かうとしましょう。

 町に着いたら色々することが出来ましたね。ギルドに登録して、宿を取って、色々そろえないといけないものも多そうです。何より、人形作りの再開ですね。アヤハの妹を作ってやらないといけません。私の安全のためにも大切なことです。


 さてと、こちらが身分証のない人用の入り口ですか。何人か並んでいますね。私も並びましょうか。

 そこそこ待たされますね・・・身分証を作るまでは仕方なしですね。


 やっと私の番のようですね。名前とどこから来たのか、それと犯罪歴の確認ですか。

 さて、どう答えましょうか。ここは「消防署の方から来ました作戦にしましょう。」

 と言うことで名前と、ガンドレアの方から来たことを告げます。もちろん嘘ではありません。私たちが来たのはここから見たらガンドレアの方角の森の中ですからその前に何処にいたとか関係ないですからね。出身地でなかったのが幸いです。

 お決まりのような水晶に手をかざすと青色に光ります。犯罪歴がないことの証明だそうです。アヤハは大丈夫でしょうか?青色に光っているようですね。無事通過のようです。



 まずは、身分証を手に入れないといけませんね。冒険者ギルドか商業ギルドだそうですね。迷ったらとりあえず冒険者ギルドに登録しとけとのことだったのでとりあえず冒険者ギルドという所に行きますか。町の中央にある噴水の前だという話ですね。

 ここですね、盾の前で剣が交差してるありがちなマークです。わかりやすいからいいのですけどね。

 さて登録しましょう。開いてる窓口は・・・無いですね、ここでも並ばないといけないようです。


 「次のかた~」

 よばれましたね、銀行かどこかで順番待ちしているようですね。ある意味ここもお役所のような所ですかね。

 「登録をお願いします。私と彼女の2人です。」

 アヤハも一緒に登録させましょう。入り口も大丈夫でしたしきっと大丈夫でしょう。

 「では、こちらを読んで頂いて最後に名前を記入してもらえますか。読み書きは大丈夫ですか?」

 あ、文字の読み書きが出来ない人も多いのですね。私は・・・読めるし書けるみたいですね。女神様感謝です。

 「大丈夫ですよ。簡単な物でしたら読めますので。」

 簡単な規則のようですね。何かあったら責任は自分持ち、何かあったら除籍もあります。まぁ、常識の範疇でやりなさいって事ですか。では名前を書いておきましょう。ついでです、アヤハの分も書いておきましょう。

 「ではこちらの水晶にてをかざして下さい。カードに魔力を登録しますので。そうすることでカードの不正利用が出来なくなります。再発行はお金かかりますからね、無くさないようにして下さいね。」

 では、手をかざしましょうか。えらく光ってますね、結構まぶしいのですが・・・受付の人が口をパクパクさせてますが何でしょうか。アヤハにかわりましょう。虹色に光ってますね。綺麗ですよ。

 受付の人が放心状態になってますね。早くカードをもらいたいのですが・・・


 あ、立ち直ったようですね。

 「しょ、少々お待ちください。すぐ、戻りますので・・・」

 どこかへ行ってしまいましたね。仕方ありません。待ちましょう。



 「ギルマスがお話しがあるそうで、別室にお願いします・・・」

 ギルマス?ギルドマスターの略でしょうね。お偉いさんが私たちに何の用でしょうか・・・まだ、カードをくれないのでお話しとやらを聞きに行きましょう。

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