Op.1-6第2節
「にぃ」
と、
「頭の糸が
「うん、直して? さっき殴ってたら爪に引っかかっちゃってねっ」
「お前、ぬいぐるみに何てことしてるんだよ」
いつものことであるが、呆れる
「み……
「直せるのか?」
「がんばって、みるね……?」
普通の家庭には裁縫セットがある方が珍しい気もするが、
針に糸を難なく通す
その様子を
「は……はずか、しい……」
視線に気づいた
「ごめん」
「……見ても、いい……よ?」
「どっちだよ!?」
「は、はずかしいけど……」
ごにょごにょと、
「恥ずかしいけど……?」
「ぅぅ……いじわる」
「どうして!?」
「うれしい……とか、言えない……よぅ」
「……言ってるじゃん」
「あぅ……、っ! 痛っ!」
「ちょ、ちょっと待って」
「絆創膏、絆創膏……」と、言いながら、救急箱を漁る
「
「う……うん」
素直に差し出す。針が刺さった場所を見ると、そこまで深くは刺さってなく、血もすでに止まってはいた。
念のため消毒をすると、少し染みたのか小さく顔をしかめる。傷口を中心に、あかぎれ絆創膏を巻き貼り付けた。
「あ……ありが……とう」
「ん」
その後は、
二十分という時間を掛け、丁寧に綺麗に縫い終わる。その出来栄えは、よく見ないと縫った場所がわからないくらい上手なものだ。
「お、終わった……よ」
「お疲れさん」
労いの言葉をかけると、
ぬいぐるみを渡そうと、
「あー、
「あ、あはは……」
「自由だよな、本当に」
「先輩、ありがとうございます」
「……また、にぃの代わりのサンドバッグにできますっ!」
「「……」」
そう言い残し、上機嫌に自分の部屋へと向かう
思わず、お互いに顔を見る、
「「それだけは、やめて!?」」
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