Op.1-5第3節2拍
昨日の夜、男二人組に昏睡させられた状態から一回も起きていなかった。
規則正しい寝息も立てずに、力が抜けた状態で寝ているのは、男達に対して抵抗しているようにも見えている。
「にぃ、なんであいつら、昼間から寝てるのかな」
楔れた長椅子で寝ている男二人が大きないびきをかいて寝ている。昨日の夜、
なんとも緊張感がない現場を見て
「昼夜逆転生活だったら昼間から寝ていてもおかしくはない」
と、
現状、
「こう言う時の魔法って不便だよな」
と、
一般人に対しての魔法の使用は認められてない。
それ以前に、楽器で弾くと言うことは少なからず音を発してしまうため、相手に気づかれる可能性が極めて高かった。
「にぃ、〈
「わかった」
と、
すでに、
(いくらなんでも無防備すぎる)
と、
ちらっと、腕時計を見る
「にぃ、そんなに時間がないかも」
と、
〈
〈
一回なら、多少の運動障害が。
二回なら、さらに全身の痛みに苛まれる。
三回なら、さらに魔法が使えなくなる。
と、使った回数に応じて反動も大きくなってしまう、諸刃の剣でもあった。
すでに三回使用しているので時間が経過すると魔法まで使えなくなるのは確定している。
「あと何分くらい?」
「あと一時間ってところだよっ」
自分のことなのに、無邪気に、他人事のように言う。
「ん?」
『明日実行』
と言う、
(人はなんて愚かだ。自分のことじゃないからと、一日くらいならと、考えているのかもしれない)
「にぃ、暴れてきていいかな」
「なるべく危害は加えないようにね」
「じゃあ、先輩を回収してくるから、にぃ、あとはよろしくねっ」
と、ベースを弾き始め、駆け出す
「この歌声……」
「〈コールド・ブレイク〉」
と、澄んだ歌声が響き渡る。
一瞬のうちに温度が低くなる。
〈
「にぃ、あとはよろしくねっ」
「わかった!」
と、会話をするや否や、
「……」
歌声の正体であろう、仮面をつけ、顔がわからない少女が
「……」
仮面の少女は佇む。
それだけで
「その二人組の味方か?」
「……」
無言で二人組を見る仮面の少女。
「〈ゼロ〉」
と、単語を紡ぐと即座に魔法が発動する。
すると、先ほどまで爆睡していた男達が起き上がり、そのまま悲鳴をあげる。
「ぎゃああああ……」
「あ……あ……」
と、一瞬のうちに男達は氷漬けにされ、静粛に戻る。
その光景に
たった一人で、しかも一瞬にして発動した魔法があの効果。もし
「あの二人、氷漬けにしちゃって大丈夫か?」
「……」
「無視か……。まあいいけどね」
「……」
相変わらずの無言であるのだが、多分何かしらに通信はしていたのであろう。仮面の少女は手を下ろすと、そのまま自分の影へ溶け込み、
「影に溶け込んだ……?」
と、
氷漬けにされた男達は、
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