Op.1-3第4節
昨日のあの後、
翌日、土曜日である今日は学校が無い日だ。しかし、
「にぃ、だから言ったじゃん! 行くのが早いって」
隣から
それもそうだ。一時間も早く着いてしまえば、小言を言われてもしょうがない。
「本当になんで、僕に付いてきたんだ……?」
朝、
「だって、にぃを起こしたら『
「盗まれるって、別に僕は
「にぃは私のものなの! 誰にも渡さないんだからっ!」
「はいはい、そう言うことにしておくよ……」
と、
「よっと」
「にぃ、また先輩の曲弾いてるの!?」
「難しすぎて毎日やらないと、指が忘れるんだ」
と、
「にぃ、私の曲を弾いてよ!」
「ダメだ。絶対暴走する」
「むー」
片方の頬に空気をためて、
「後でケーキ奢ってねっ! それで許してあげる!」
「なんで僕がケーキを奢ってあげなきゃならな……」
と、
そこには、バイバイと手を振る
「言うだけ言って帰ったな……」
いつも通りの
♪
「み……
と、
「
「ごめんね……? 妄想してると難しいこ……行為しか思い浮かばなくて」
「それ、えっちぃ妄想じゃないよね?」
「み……
と、珍しく慌てた声で喋る
「ごめん、ちょっとからかった」
「み、
「ところで、なんの用で待ち合わせなんかしたの?」
「あ……うん、これを……見てほしいのだけど」
と言って、何枚かの紙を
題名に書かれているのは『調律』。
「これ……、かんたんに言うと、わ…わたしと
「まて、その表現はおかしい」
「むぅ……」
と、
それを少し、変に思う
「わ……わたしと
「
「う……うん」
そのせいで、ほかのデュオにはできる、演奏中の会話というものができず、意思疎通が難しいのだ。
『調律』と名が記された楽譜を手に取る
音符を目で追っていく見る
「ど……どうかな?」
と、心配そうに
「物は試しに、練習してみないとわからないな。でも、これで意思疎通ができるなら、相当いいものかもしれない」
「あ……ありがとう。
「あ……あと、これ……
と、おもむろに、いつもは手にしてない手提げバッグから、風呂敷に包まれた物体を取り出した。風呂敷を開けると、そこに入っていたのは弁当箱だった。
「え、ありがとう」
「ど……どう……いた…し……」
「がんばって……作ったから、た……食べて?」
と、
真っ黒だった。
弁当箱の中身が黒色で埋め尽くされていた。
「
「…………」
と、顏を明後日の方へ向ける
「がんばって作ってくれたんだよな?」
「……(コクッ)」
と、顏を戻すことなく、そのまま頷く
昼ごはんを持ってきていない
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