Op.1-1第5節
「えー、〈
神林先生の声が教室に響く。
魔法学の基礎を授業で行っていた。
「魔力は人間なら誰でも持っているが、魔力の量が多い人間が、魔法を操ることができ……」
左隣に座っている
「そういえば
「……きょ、きょーか魔法……かな」
「強化魔法?」
強化魔法、という系統を初めて聞いた
「強化って、どんな感じ?」
「た……たとえば、わたし自身の……身体がおかしくなっちゃう……」
「それ絶対違うからな?」
「な……なんか、速くなったり……、頭が気持ちよくなったり……」
「違うからな?」
「強化魔法って言うくらいだし、多分身体能力系を強化する魔法かな」と
「え……えっと……」
「それ以上言うとさらなる勘違いが生まれるから……」
「え……あ、うん。わ、わかった」
と、これ以上、
「むぅ」と、可愛らしい声が
「み……
と、今度は
「き……今日の放課後、ちょっと時間、空いてる……?」
「大丈夫だ」
「そしたら……い、一緒に帰ろ?」
「わかった」
一緒に帰るくらいなら大丈夫だろうと返事をする
「あ……ありがとう」
と、
♪
「み…
今日の授業が全て終わったと同時に、
返事を聞く前に、
階段をずーっと登り続け、向かった先は一枚の扉。それを開けると眩しい日差しが突き刺さった。
そう、屋上だ。
「み……
そう言われた
「じゅ……準備は…いい?」
「ああ」
その返事を聞いた
「〈
と、大声を上げた。
「……!?」
今は
ふわっとした風が
静粛。
少しの間、お互い動かず、言葉も発さなかったが、
「これが、わ……わたしの強化魔法」
「……〈
「そ……そう。こ……これはね、弱い部分があってね……」
そう言いながら
「〈
途切れ途切れ、
「もういい、しゃべるな」
そんな様子を見かねて
「み……
「
「ひ……膝枕、し……してもらってもいい?」
立っているのもやっとなのか、体重を預けてくる
少しでも楽にしてあげようと、
自分のふくらはぎに
「優しいね……。わ……わたしのこと、襲えるのに、それを……しないって」
「苦しそうにしてる
「ふふっ……ありがとう」
横になったおかげか、少し楽になった
♪
あなたは戦場にいます。
〈
ただ、あなたはすでに体力、魔力共に相当消費していましたが、休む訳にはいきません。
なぜなら、別の敵からの魔法による攻撃があなたに迫ってきていたのです。
あなたは体力的に避けることも出来ず、強化された身体を頼りに敵からの攻撃を受けました。
とても痛いと思います。
あなたは傷つき、痛みに苛まれ、身体がボロボロになっても立ち上がりました。満身創痍という言葉が似合う状態ですが、それでも立ち上がるしかなかったのです。
夥しい数の魔法を使った代償でしょうか。視界がかなりぼやけていました。
それでもあなたは立ち上がり、敵を倒すしかないのです。
立ち上がったと同時に、あなたは魔法を使って敵を倒そうとしました。
しかし、詠唱しても再現されませんでした。魔力を使い切ってしまったのです。
その時、敵の詠唱を終えた、強力な魔法があなたに襲いました。
♪
その寝顔には、規則正しい寝息ではない、苦悶の表情を浮かべていた。呼吸も荒々しい。
「悪夢でも見ているのか」と思い、つぶやく
少しでも紛らせようと、
すると、
「大丈夫か?」
と、
「う……うん。大丈夫……だよ、
「変な夢でも見たのか?」
「……そうだ……ね」
「わたしが……ね、て……敵と戦っている、夢を見ていたの。倒しても……次々と襲いかかってきて、そしてやられて……。なんで……あんな夢を見たのかな……。
でも……、不思議だったな……」
「何が不思議だった?」
「だって……、夢のような感じが……しなかったんだよ」
「夢なのに、夢の感じじゃない?」
夢なのに夢の感じじゃない。そんなことがあり得るのだろうか。
「う、うん。わ……わたしがたった1人で……、たくさんの、〈
「……」
「そして、わたし……も、たくさん傷ついて……、さ……最後は、……殺されたの、かなぁ……。そのときに、ゆ……夢から覚めたの」
『負けたら死ぬ』という文字が似合う状況だった。
「い……今まで、そんな夢み……見なかった……のに……」
「
と、
「魔法はたしかに、人を殺せる。ただ、人を殺すために使うなんて、ありえない」
魔法は人々の希望でもあり、娯楽だ。殺すために使うのではないのだ。
ただ、
魔法で人が殺せるということを。
「もし、そうなったら僕が絶対守ってやる」
と、
「
「そ……その時は、いっぱい頼るから……ね?」
「おう」
柔らかい表情で、ほんのり笑顔になりながら、
こんな時間が永遠に続ければいいのにな
と、思うのであった。
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