第13話
巨大鬼と出会してから、足の震えが止まらず、俺が歩みを再開させるのに十分ほどの時間がかかった。
「俺は生きていけるのか…こんな世界で…」
レベルが上がったり、怪我を一瞬で治療できる回復スキルが手に入った時は、俺はこんなカオスな世界でも方法次第では生き延びられるという希望を持っていた。
だが今は、すっかり自信を無くしてしまっていた。
当然だ。
あんな化け物に出会ってしまったのだから。
「やっぱり…助けを待つ方が賢明なのかもな…」
下手にモンスターに挑まず、やっぱり助けを待った方がいいのかもしれないと俺は思い始めていた。
レベルを上げるために自分からモンスターに戦いを挑み、先程の巨大鬼のようのに出会して簡単に殺されたんじゃ、どうしようもない。
変に出歩いたりせずに、家の中に引きこもっていた方が安全なのかもしれなかった。
「…まぁいい…今後の方針はまた後で考え直すとして…今は食料だ…」
籠城するのにも食料は必要になる。
俺は当初の予定通り、食料を確保するために、コンビニへと向かう。
「もうすぐだ…」
モンスターと遭遇することがないよう祈りながら進んでいると、ようやくコンビニのある大通りが見えてきた。
「うわ…映画の世界かよ…」
大通りは、車や書類、ゴミや荷物、そして人の死体が散乱していた。
ゾンビパニックものの映画で見るような、まさに終末世界って感じの様子だ。
ついこの間まで整然としていた日本の街がこんな状態になってしまうなんて、いまだに信じられなかった。
「モンスターは…いないようだな…」
周囲を見渡したところ、モンスターの姿は見えない。
所々に人の死体はあるものの、生きている人間もいないようだった。
「みんな…避難したのか…?」
俺は周囲に気を配りながら大通りを歩く。
間も無く、道沿いに建てられたコンビニが見えてきた。
「食料は…かなり残っているみたいだな…」
外から見た感じ、まだ中には食料が残っているみたいだった。
先客がいたのか、自動ドアは壊され、荒らされている形跡があるものの、全ての食料が持ち去られているわけではなかった。
「よし…リュックいっぱいに詰めて、さっさと家に帰ろう」
俺は地面に散乱したガラスを踏んで、壊れた自動ドアから中にはいり、食料をリュックに詰めようとする。
『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…』
「ん…?」
リュックを開けて、手始めに商品棚からおにぎりを取ろうとしたところで、手が止まった。
何か荒い息遣いのようなものが近くから聞こえてきたからだ。
誰か俺以外にも人がいるのだろうか。
そう思い、恐る恐る横を向く。
「…っ!?」
『ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…』
豚の頭をしたモンスターが、女性の死体を犯していた。
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