「水を見てたのか」


「うん。暇なときはずっと」


「人に会ったりはしてないのか?」


「一応、紹介してもらったひととは喋ってるよ。忘れられない程度に」


「寂しくないのかよ」


「寂しいよ。あなたがいないと、寂しい」


「俺か」


「あなたがいればいい。あなたの代わりはいない」


「そっか」


 ひさしぶりの会話は、そこで終わった。

 ぼんやりと、ふたりで水面を見ている。

 ただそれだけの、しあわせな時間。

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水面、清流 (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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