幕間2
幕間2 津曲 創
サジコ様は美しい。正直我妻さんにはもったいないくらいだと思うのは、部下として失礼だななんて思う。でも、やはり不思議だ。
何で、あの女心も芸能ゴシップも疎い我妻さんをサジコ様は選んだのか、正直言って分からない。
ま、そんな
サジコ様は、俺たちには優しいが、身内には妥協は許さず、厳しかったと言われている。厳しいといっても、理不尽に厳しいではなく、プロとしての極致を目指す上で、必要な厳しさであり、その信念を貫いて、業界トップの座に君臨し続けた。
ただ、そのような性格は、いくら合理的な厳しさであっても、反感を買いやすいのが、どの業界でも常だろう。まさしく、出る杭は打たれるのだ。
そんな彼女をコントロールできるのは、彼女以上に強い先導力をもつリーダータイプではなく、鷹揚で包容力のある
我妻さんが
そう問われると、これまで7年間、近くにいるくせしてよく分からない。結構、サジコ様に対するご不満が、にじみ出ている様子だから、度量が大きい訳ではない。鷹揚かと言われると、そこまで落ち着き払っているわけでもない。(ぱっと見は落ち着いているような雰囲気はあるけど。)
菩薩──。あれだけ、サジコ様に身体的、精神的、経済的制裁を受け続けてきて、それでも自我を保てるのは、ある意味、悟りを開いているレベルだと思う。常人では音を上げているはずだ。
俺はどうだろうか、とふと思った。もし俺が我妻さんの立場なら、自我を保てるだろうか。
俺は、昔からの
サジコ様も、我妻さんに対して
仮に、俺と本当に相性が良かったら……。
いかんいかん。部下の俺が、そんな、上司の奥さんに横恋慕なんて、不埒で破廉恥で
サジコ様の見すぎで、
妻になる女性が理想。
自分にとっての理想を改めて考えなくては。
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