第4話

会場から少し離れ、人混みも無くなってきた頃に健人が徐に口を開く。


「優菜はさ、願い玉になんて願いするんだよ?」

「え?」

「ほら、貰っただろ願い玉。なんでも1個願いを叶えてくれるってやつ。」

「うん。成人の記念品だよね。ちゃんと貰ったよ。」

「なんか、本当なのかよって感じだよな。願えば叶うなんて漫画じゃあるまいし。」

「確かにね。でも、叶うかもって思ったら楽しくない?願うだけなら簡単だしさ!」


ニコニコとして願い玉のことを話す優菜は、今日貰った玉が本当に願いを叶えてくれると思っているようだ。


「で、お前は何願うんだよ。」

「え~?」


「秘密♡」


悪戯っぽく笑う彼女は、今年で成人を迎えるとは思えないほど無邪気な顔をしていた。


優菜、俺たち、今年で成人だよ。

子供の頃の約束、覚えてるか?俺がお前のことをずっと守ってやるって言ったこと。

あの時から俺たちが2人でいることは当たり前になったよな。

もうお互いに結婚が出来る歳になったよ、優菜。

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