第11話

「えっと、君は萌黄さんが言ってたメイドさん?」

「は、はい、こつぶって言います」

「そう、こつぶさん」

あとちょっと、あとちょっとを繰り返し、

何時間も経ってしまったみたいだ。

この少年は黒が言ってた白だろうか、

とにかく、私はそれどころじゃない。

仕事サボって本読んでいたことを

絶対見られた。

入ってくる寸前に閉じたが、本を隠したことなんて

バレバレだろう。

「えっと、あなたは白さんですよね」

「はい」

「で、では私はここで」

逃げたいの一心に図書室を抜け出した。

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