第3話
文香に勧められて実際に行ったはいいものの、緊張で胸が張り裂けそうだ。
「あの、アルバイト体験のこつぶです」
「きみがこつぶちゃんか、わたしは鶯家の家主の朽葉じゃよ。よろしく」
「よろしくお願いします」
朽葉はほわほわした空気をまとった人だ。人のよさそうな表情を浮かべている。
「萌黄さん、メイド体験のこつぶちゃんが来てくれたよ」
「いらっしゃい、こつぶちゃん、そうだ。これがうちの制服よ」
渡されたのは、余計な装飾のないシンプルで上品なデザインのメイド服だ。
「うちのメイド服はフリルやレースのないシンプルなメイド服なのよ、もっと可愛い方がいいかしら」
「い、いえ、こういうシンプルな服のほうがきやすいので」
「そうなの、よかったわ」
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