第8話 再会とかつお節



 どうやらこのイケメンに番いが出来たようなのです。

 正確にはマダのようですが。


 この間からメスのニオイを付けて帰るようになりましたの。


 すぐ分かりますわ。


 ちょっとジェラシーを感じてしまうのはどうしてかしら?


 ですが・・・。


 ですがですよ。

 あの時のお犬様のニオイも少し致しますの。


 もしかして・・・その番がお犬様の関係者?


 しかも頻繁に会っているらしくて、お犬様のニオイがよくしますのよ。


 これは気に為らないほうがおかしいじゃありませんか。

 まさかとは思いますが、番がお犬様ではないと思うのですが。


 いやいや。

 そのようなことはないと思いたい。


 その場合に女のニオイがするのはおかしいはずですので。

 やはり。これは気になります。



 ん?イケメン帰ってきましたね。

 よっしゃー。待ってましたー。

 大盛りかつお節!




 っと。


 あれっ。あの女誰よっ。

 もしかして、私がいるのにメスを連れ込む気?


 ちょっと。ちょっと。それはないんじゃない?



 あれっ。


 あの・・・お犬様は・・・。


 キター。あの時のお犬様ー!


 どどどど、どうしましょー。

 とりあえず隠れますわ。


 ちょっとこの部屋に入って顔を半分出したぐらいならわからないでしょ。


 みゃっ。


 えー。今日はお家デートですかー。

 それで、あの女の家に住んでるのがお犬様でいらっしゃる。


 そうなんだ。

 それを早くおっしゃりなさいな。


 しかし、やるわね。あの女。

 堂々と上がり込んでますわよ。図々しい。


 えー。ご主人なんでエスコートまでしてんのよ。信じらんない。


 なによー。わたしという猫が家に来てあげているというのに、メスといちゃいちゃするなんて。



 それにしてもお犬様・・・。

 わたくしめのことを覚えていらっしゃいますでしょうか?

 なにやら・・・こちらを見て固まっていらっしゃる様ですが。


 あら。舌をぺろんと出していらしてかわいらしい。



 いや。今はそういうことじゃなくてちゃんとお礼を言わなきゃ。

 でも、ここでそちらに行く勇気はございませんわ。


 というか、こっち来たっ。

 逃げますわっ。


 あ。そっちですの。じゃあ。ちょっとそちらにおじゃまして

 ・・・顔を半分っと。



 ふふふ。くつろいでいらっしゃいますわ。お犬様。


 ここのご主人にも撫でられて。気に入られたみたいですね。

 ちょっと安心。


 あ。ご飯の用意を一緒にするんですね。


 やりますなー旦那ー。エヘヘ。


 えっ?今日は私も一緒にそこで食べますの?

 そんなにおいでおいてしなくても。


 仕方ありませんわね。そちらに行って差し上げてよ。


 さて。いただきますわ大盛りかつお節。

 でも、この半分をお犬様に差し上げたいわ。


 うまっ。止まりませんの。このしゃくしゃく感。


 あっ。

 半分より少し食べてしまいましたが。

 これをどうぞ。お召し上がりください。


 いや。このかつお節でどうっていうのもないんですけど、助けていただいた時のお礼ですわ。


 えっ。


 じゃあって。あなたの半分をいただきましたら意味がないじゃございませんか。


 んもぅ。優しいのですね。


 やっぱりこのお犬様、イイかもしれません。

 意外というかわたくし・・・犬もイケちゃうんですねー。

 知りませんでした。




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