第6話 陸

 

 窓から外を覗くと、ぼんやりとした灯りが、ゆらゆらこっちに向かっているのが見えた。

 あの高さはきっと、オヤスミンだ。

 オレはベッド陰に隠れて、入り口の扉に向かって銃を構えた。

 心臓の音が全身に響く。

 額にじんわり汗が滲む。

 震える手を強く噛んで抑えた。

 心の中で「ごめんなさい」を呪文のように唱えながら、その時に備えた――。

 扉が開いて、灯りが部屋中を照らす前に――

 

 バキュン

 バサッ


 ………………終わった。


 倒れているオヤスミンより先に、転がった灯りを回収した。やっぱりランタン仕様で、倒れてもすぐには燃え広がる心配はなさそうなやつだった。

(ごめんなさい……) 

 うつ伏せで動かないオヤスミンに、心の中で何度も謝った。

 オレはもう一度手を合わせてから、ベッドに腰を下ろして、意識が遠のくのを待った。

 …………………………………………………… …………………………………………………… …………………………………………………… ……………………………………………………

 ……………………。

(えっ)

 何も起こらない。

(太眉とちょび髭、ほらっ、応答しろよ!)

 ……………………………………………………。

 何も……聞こえない。

(おい……ミッション……成功しただろ……)

 ……………………………………………………。

 沈黙が、恐ろしく長く感じる。



「……あなたなら、少しは話しが出来ると思ったのに、残念」

 耳をピクピク動かしながら、オヤスミンがゆっくりと起き上がった。



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