第4話 肆


 ―「おおっ、実験体3号くんと、まだ意識が繋がるみたいだぞぅ」

 ―「オヤスミンはどうした?」

   頭の中に直接、話しかけられる。

 ―(その声は、太眉とちょび髭か?)

 ―「「勝手に名前をつけるな!!」」

 ―(うるさいな。怒鳴りたいのは、こっちなんだけど!)

 ―「「……………………」」

   今までの鬱憤を晴らすように、怒鳴り返すと静かになった。


 ―(あんた達の言う、怪獣オヤスミンってどんなの?)

   どうせ、オレのオヤスミンとは、似ても似つかない怪物だろ。

 ―「全身、毛むくじゃらで」

 ―「目がギョロリと大きくて」

 ―「耳がピーンと長く尖っていて」

 ―「顔の一部がずっと、ピクピク動いていて」

 ―「「獲物は生で嚙み砕く!!」」

 ―(ふーん……)

   ……間違ってはいない、いないけど……言葉だけで伝える難しさを、今さらながら知った。


 ―(なぁ、そんなやつ相手に、オレが出来ると思ってんの?)

 ―「大丈夫なはずだ。キミには適性がある」

 ―「自分を信じて」

   雑な応援に、イラッとする。

 ―「それで実は、麻酔銃、渡すの忘れててぇ」

 ―「今。キミのポケットに転送したから、確認してねぇ」

   突然、ポケットが膨らんで、中を確かめると、手のひらサイズの銃が入っていた。

 ―(最初に見せたのより、サイズ小さくなってるぞ)

 ―「あれは私が作った模型だよ」

 ―「それに、あんなに大きかったら、相手にすぐバレるじゃん」

   ……なんか言い返せない、悔しい。

 ―「ごめんねぇ。予算の関係で弾は一発だからぁ」

 ―「一撃必殺でお願いねぇ」

 ―(じゃあ、あんた達がやれよ!)

 ―「あっ、時間だ!」

 ―「もう邪魔しないから、よろしくねぇ」

 ―(おい、待てって!)

   また強制的に、意識が遠のいた。


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