第98話 今日の話ができたり

 アニメを見終わったあと、どのキャラが好きかの話題で盛り上がった。


purinmania:おつぼねぷりんさんは?


 コーヒーが無くなった。リビングでお代わりを注いで、また部屋に戻る。


おつぼねぷりん:実は、ミサキが、高校の時に好きだった子に似てて


purinmania:へえ。こういう感じだったんですね。かわいい系


おつぼねぷりん:そう。だから、頭の中で好きだった子で補正されて、ミサキが馬鹿みたいに可愛く感じます


 全く違う。カムアウト前と違う。はっきりと言葉にするまで、こんな話は、自分からしなかった。


おつぼねぷりん:でも、ミサキが可愛いから、共感は、心音ここねのほうにしてます。心音視点でミサキを見てます。二重でエモい


purinmania:あ~! ありますよね、そういうの


おつぼねぷりん:あります?


 楽しい。ただ本音を話せるというだけで、こんなに気持ちよく会話ができるのか?


purinmania:あるある。小説で出てくる仕草とか、好きな子がしたことのある仕草だったりすると、クるから。思い出すんでしょうね。おつぼねぷりんさんて、ミサキちゃんみたいな子がタイプなんですか?


おつぼねぷりん:うーん。好きになった子にミサキが似てるってだけで、ミサキみたいな子がタイプかって言われると違うんですよ。好きになった人の特徴を好きになっちゃうみたいで


purinmania:好きになった人がタイプ?


おつぼねぷりん:そう。その子、手が大きかったんですよ。当時、手が大きいとこ好き! ってなってましたけど、ちっちゃかったら、手がちっちゃいの好き! って多分なってた。手が大きいとか小さいとか、本来どうでもいいからね


purinmania:萌えが先なのか、好きが先なのか……


おつぼねぷりん:プリンマニアさんってどういう人が好みですか?


purinmania:うーん? 今まで好きになったのはみんな可愛い系だったような? いま好きな子もリスみたいだし


おつぼねぷりん:リス? 小動物系?


purinmania:モノを食べてる姿がリスっぽいんですよ。いるでしょ、両手で持ってどんぐりとか食べてる小動物。口元しか動いてないの。おにぎりとか、メロンパンとかでよくそれやってる。めっちゃ可愛い、ほんと可愛い、ヤバ可愛い


 プリンマニアが、ルームメイトさんのことを語りだすと、可愛いの連発になることがある。両想いになったら彼女自慢とか凄そうだな。


purinmania:ちっちゃいからかな。可愛いって気持ちが強いんですよね。綺麗でもあると思いますけど、きゅんって来るのが、可愛いって感じた時だからかな。たまにカッコイイとも感じるけどね? 


おつぼねぷりん:そうなんだ


purinmania:怒ってても可愛い。機嫌悪いと、目が座ってる。目つき悪いまま、リスみたいにもしょもしょ食べてる。もうほんと可愛い。ぎゅーってしたくなる


おつぼねぷりん:プリンマニアさんになら、彼女自慢とか、されたいな。聞いてると幸せな気分になる


purinmania:じゃ、彼女ができたら、おつぼねぷりんさんに自慢しまくりますね


おつぼねぷりん:しまくるの?(笑)待ってます


purinmania:おつぼねぷりんさんも、好きな人できたら、教えて


おつぼねぷりん:はいはい。なんか会話が、中学生女子みたいだな


purinmania:そう?


おつぼねぷりん:よく考えたら、恋バナなんか本音ではしたことなかったし。今さら感と新鮮さが両方ある。青くさい(笑)


purinmania:そういえば、わたしも恋バナビギナーズ? 青くさいのかも


おつぼねぷりん:本当の本音はね


 恋愛はしたくない、というかわりに、私は言い方をずらした。「しなくてもいい」に。


おつぼねぷりん:本音としては、恋愛はしなくても、今のままでも充分だけど。楽しく過ごせればそれでいいし


purinmania:そうねー


 楽しく過ごせれば。……そうなんだよな。


おつぼねぷりん:百合と関係ない話してもいいですか


purinmania:どうぞ


 私は皆堂のことをかいつまんでプリンマニアに話してみた。こんな話されても、楽しくもないだろう。なぜプリンマニアに話したくなったのかわからない。たぶん、その場にいたから、というのが一番大きい。


purinmania:回し蹴りに共感してきた人でしょ?


おつぼねぷりん:そう


 プリンマニアは、聞いてくるだろうなと思っていたことを実際に聞いてきた。


purinmania:おつぼねぷりんさんは、どうしたいんですか?

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