第32話 読み始めを思い出したり

 お局小説を初めて読んだ時、そっちの小説にはあまり興味をひかれなかった。わたしが毎日でも読みたいと思っていたのは、プリン小説のほうだった。


 特に、読みたくなるのは、プリンを食べさせた後。

 そして、プリンを食べさせることのできなかった夜だ。


 きょうはあおいとのプリンの時間がなかった……そんな夜、あおいとのプリンを思い出したくて、サイトを開く。過去のものでいいから読みたい。そんな夜にプリン小説の最新話が出れば、わたしはそれを読んで甘い気分に浸れただろう。


 なぜかいつも、プリンを食べさせることのできなかった夜にかぎって、「プリンのじかん」は更新されないことが多かった。


 最新話がないのはやっぱりちょっと寂しい。過去のものを読んだあとそう感じて、仕方ないからお局のほうを読むのだ。


 お局小説の最新話に毎回目を通すようになったのは、わたしが、おつぼねぷりんという人間自体に興味をもつようになってからだった。


 そうそう、レッスン★ワン、これだけは最初、期待して読んだんだ。サブタイトルに「プリントアウト」なんて書いてあるから。なにかプリンと絡めてるのかと期待するじゃないか。

 しかし、プリントアウトには、プリンは出てこなかった。


 お局小説のほうには、プリンは出てこない。


 プリン……プリン食べたい。


 この前作ったやつ、カラメルソースちょっと苦かったんだよな。甘すぎてもつまらないし、ちょうどいい苦さギリギリを攻めたかったんだけど。今夜のプリンはあまり苦くならないように作ったけど、どうかな。


 プリン小説の最新話で、カラメルソースの苦さがどうこうと書いてあったので、思い出す。


 カラメルソース……汁。また、汁って書いてあったな。


 おつぼねぷりんの小説で、前から気になっていることがある。

 カラメルソースのことを、おつぼねぷりんは、汁、と書くのだ。「しる」……。汁ってなんだよ。汁はないだろ。カラメルソースだろ、もしくはキャラメルソース。せめてソースにしろよ。


 汁。

 黒い汁。

 苦い汁。


 とにかく、カラメルソースは全部「汁」と書かれている。

 なんで汁で統一してんだよ。


 ずっと思い続けてきたが、悪いかなと思って、コメントに入れたことはない。もし、おつぼねぷりんともっと仲良くなったら、さらっと突っ込んでみようかな。


 汁ってなんじゃいと。


 汁について突っ込みたい……。

 意味があって「汁」にしてるんですかと。なんかの表現ですか、おつぼねぷりんさん。


 やべ。こんな時間だ。夜ごはん当番なのに。ごはんしか炊けてない。

 お腹がすいているから、がっつり食べられるものがいい。でも、……汁っけのあるものがいい。

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