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多分、そんなことは無いのだろう。
でも、きっと、今と違って、自分を嫌いになるような意地の張り方はしなくてすむ。
そういう意味では、互いに傷を見せ合うより、甘ったるい言葉を吐き合う方がよっぽど楽だ。
彼が、傷を見せれば見せる程、私もそれに応えなくてはならないから。
別に、そんな義理はどこにもないのだけれど、心が、それを望んでいる。
奥底に詰め込んだ、汚いものを吐き出させろと、心がそう、叫んでいる。
「外見的な事を言っているんじゃない。君の、真っすぐに生きようとする、強くて綺麗な、心の色の事を…」
「それが、違うって言ってんの!」
だから、私は吠える。
心が望むままに、汚く、本能的に。
初めて、憧れを抱き
初めて、妬みを抱き
初めて、共感を覚え
初めて、怒りを覚え、嫌悪した相手に向かって。
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