「どういう事?」


白々しい。


心から、自分にそう思う。


「僕は、本当は臆病で、弱い人間なんだ。一人が嫌いで、人に嫌われるのが怖くて。誇れるものも何もない、空っぽな人間のくせして、皆が持っているような、色を欲しがってる。何者かになれる色を。だから、人の感情を注視して、その人が望む人物を演じる。嫌われず、仲間として迎え入れてくれるような、丁度良い塩梅を模索して。そうやって機嫌を取っていれば、一人にもならないし、嫌われもしないし、仲間として、皆が見ている色を自分も見ることが出来る。色の無い僕は、他人の色眼鏡を通してじゃないと、世界を見ることができないから」


息遣いを感じる程、彼を近くに感じる。


もちろん、気のせいだが。


私達の間には、丁度、お互いの関係性と同程度の距離が、常に、一定に保たれている。

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