「君は、この花の名前を知っているかい?」


「知らない」


「…スノードロップ、って言うんだよ」


「スノードロップ」

外見だけでなく、名前まで綺麗だ。


ますます、私とは似ても似つかない。


「名前まで綺麗だよね。この花に由来する言い伝えは色々あるんだけど、その中でも、特に好きなものがあるんだ」


「何?」


「アダムとイブの話は知ってるよね」


「ええ、あのアダムとイブよね」

確か、食べてはいけない果実を食べたとかで、楽園を追われるっていう神話だった気がする。


「そう。そのアダムとイブ」

彼は、一つ、咳払いをすると、勿体つけた口調で語りだす。

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