「君とよく似ていて、とても綺麗だ」


「…は?」

だから、だから私は、そんな彼から予想の斜め上をいく言葉が出てきたことに、思わず乙女らしからぬ声をあげてしまった。


「この花は、綺麗な青白磁色をしている。雪の中、冬が春の訪れを待っているように、白の中に、淡い春の空色を混ぜた色だ」

私の反応に笑みを零しながらも、相変わらず震えが混じった声で、彼は話を続ける。


身に着けている学校指定のセーターと、もこもこのマフラーは、随分と温かそうだ。


「…君の、髪と瞳の色と同じ。優しい綺麗な色だ」


「私は、自分の髪も、眼の色も嫌い。優しくも、綺麗な色でもなくて、私と世界を切り離す、暗くて汚れた色だから」

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