小学校からの繰り上がりで交友関係を保つ田舎の中学校の中で、彼が比較的早く集団に馴染めたのは、そういった要因の助けが大きいだろう。


けれど、決してそれだけが、彼のもとに人が集まった要因ではなかった。


私が感じた限りでは、彼は、とにかく人の感情の機微を読み取るのに長けていたように思える。


相手が、自分に対して、どういった種類の感情を抱いているのかを瞬時に感じ取り、そこから、相手が望む自分を演出していた。


自分に向けられる感情が悪意的なものに僅かでも変われば、瞬時にそれを感じ取ってリカバリーし、相手が望むものが、自分にとって害を為すものであれば、丁度良い折衷案を模索しながら上手く立ち回っていた。

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