③
そんな私が、彼と初めて出会ったのは、雪の降る、寒い冬の事だった。
時が経つにつれて、昔の記憶は風化し、今では覚えていることも少なくなってきたけれど、あの時の事だけは、消えることなく、私の中で、鮮明に残っている。
その日も、私は相変わらず、孤独感と自身への嫌悪感に苛まされて、惨めったらしく泣いていた。
一日を生き凌ぐため、いつものように、一輪の小さな花を眺めて涙を拭いながら
―私もこんな風に、強く、綺麗に生きれたなら―
などと考えていた所に、突然後ろから声を掛けられたのだ。
それが彼、秋川雪人と私の初めての邂逅だった。
彼は、中学に上がるタイミングで、都心からここに引っ越してきた都会っ子で、都心への憧れが強い田舎者たちにとって、彼は、私と違った意味で注目を集める存在だった。
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