ある程度は良識のある学校ではあったから、表立って、私に言ってくる子はいなかったけれど、周りから向けられる好奇の視線に気付かないほど鈍感ではなかったし、常に、疎外感を感じて過ごしていた。


人と違う自分が嫌で、いつも、誰にも見えない場所でこっそり泣いては、一日を耐えしのいだ。


それは、中学にあがっても変わらず、人が増えた上、思春期真っただ中なお年頃になった分、周りの好奇の眼差しは、より悪質なものへと変わっていき、一日を耐えしのぐために流す涙も、日に日に増えていった。


そんな私の唯一の心の拠り所は、校舎の隅で、ひっそりと咲いている小さな花を眺めることだった。


一輪で咲いている姿と、私と同じような白色の花びらが、どこか自分と重なって、毎日、まだ咲いているその花を見る度、もう少し頑張ろう、という気持ちになれた。

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