番外編:映研ポテンシャル
「なっ、なんて事してくれたんだー!!」
「どうしたんですか部長、血相変えて……」
「見ろ! この脚本を!」
(うそっ! この脚本は私が趣味で書いた副部長×部長すれ違いイチャイチャ百合シナリオ……どうしてこれがここに……)
「この脚本が、学園祭での上映作品の脚本として、生徒会に提出されていたそうだが?!」
「えええっ?!」
「どういうことか、説明してくれるか……!」
「ーーーーと、いう訳で。要は、提出する方を間違えました。お分かり頂けましたか」
「ちっとも分かるか! ……はぁ……まあ、今さら原因はどうでもいいんだ。問題なのはこれから」
「……と、言いますと」
「ウチの生徒会が生真面目なのは知っているだろう?」
「あー、そりゃ叱られてボツにもなりますよね。そしたら、私が書いた本来の脚本を提出し直せば……」
「……違う。脚本が、通った」
「……へ?」
「だから、許可が下りた。この脚本で」
「…………」
「……何でも、生徒の表現と創作の自由を尊重したいと……過剰な表現を少し削れば、おおむね脚本通りで良いそうだ……」
「あ、ああー……生真面目ってそっちの生真面目かぁ……」
「どうするんだ?! 向こうは既に貴重な時間を割いて全部目を通して、修正箇所の指摘までしてくれているんだ、間違いでした、なんて今さらノコノコ言うのも申し訳ないだろう!」
「それじゃ、撮るしかありませんね。この際、良いじゃないですか。部長と副部長がカップルなのは、周知の事実ですし」
「そ、それは……! そうだが……!」
「あれ、意外と満更でもないです? ……お、グループメッセージが」
『脚本見たよー! 最高じゃん!』
『撮るの楽しみ!』
『これ絶対いい作品になるって!』
「ほら、部員の皆からの反響もいい感じですよ!」
「ん、そ、そうか……!!」
「あっ、副部長さんからも来てます」
『なにそれ天才。あの子はわたしのものだって、全世界にマウント取るつもりで演るからよろしくね♡』
「……だそうです! あ、部長、顔が真っ赤ですよー」
(これ、カメラ回して、メイキングドラマにしたら良かったな)
「……あっ、あいつ……っ」
「ふふっ、撮影も学園祭も楽しみですね、部長っ!」
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