第15話 大ターミナル、再び

 稚内駅に戻ると、列車の遅れを放送していた。折り返し札幌行きとなる特急が、何分か遅れての到着となるようだ。これより後は、旭川を通り札幌まで直通して走るのだし、その後はホテルで寝るだけである。少々遅れても何の支障もない。だから特に焦りもなく、列車の到着をのんびりと待っていた。


 やがて改札が始まり、みなが落ち着いて乗り込んでしまうと、十七時四十四分、列車は最北の駅を発った。特急宗谷号、札幌行きである。一日一往復だから番号はなく、単に宗谷号である。番号がないと何だかムズムズする。

 来る時のサロベツ号とは異なり、この列車は札幌まで五時間ぶっ通しの運転である。夜行列車を除けばほとんど例のない、とてもとても長い旅路である。今度こそはと入念に確保しておいた食料をテーブルに広げ、筆者は長旅を楽しみ始めた。


 旭川に到着したところで、列車の遅れが放送された。前を走る網走からの特急オホーツク四号が遅れているため、この列車も遅れるとのことだ。追い越したらあかんのかな、行き違いの手配やら何やらあるんやろう、しょうがない。でも網走からの特急は引退が迫るキハ183系だからそっちに乗りたいな……などと、色々と考えてもどかしい気持ちになった。

 札幌のホームに降りると、先行の特急オホーツク四号が停まっていた。乗れなかったけれど、今乗ってきた特急宗谷号と横並びの写真を撮れたから、そこはちょっと良かった。


 ちなみに、なぜだか分からないが今度はスマートフォンの減りも問題なく、無事に札幌まで持ち堪えた。行きのあれは何だったのか……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る