第5話 着陸
晴れていれば雲の上でもおおよその地形が読み取れるのだけれど、この日は終始曇りだったのでさっぱり分からなかった。時折旋回を感じながらまどろんでいるうちに、機体は降下を始めた。
新千歳空港では、南北に伸びる二本の滑走路が隣り合い、その北端に駐機場が配置されている。したがって南側から滑走路へ進入し、そのまま駐機場に向かうのが最短ルートとなる。今日はどうだろうかと気になっていたところ、高度を下げるにつれ、だんだん見当がついてきた。仮に南側からの進入であれば、雲の下まで降下した辺りで苫小牧の海岸が見え、そのまままっすぐに着陸となる。だがこの日、雲を抜けて見えたのは陸地ばかりで、何だか旋回も多かった。これは北側に回り込んでの着陸だな、と筆者は観念した。気象条件はどうしようもないのだから、と。
白銀の大地へ降り立った機体は、駐機場へ向けてゆっくりと進み始めた。定刻より十五分ほど遅れた、午前十一時五分頃であったか。予定した列車への乗り換えはちょっと怪しいなと思ったところで、機体が停止した。アナウンスによると、この飛行機が入る予定の駐機場に、前の飛行機がまだ留まっているため、駐機場の手前で十分ほど待機するとのことだ。ここから更に十分遅れか……予定を引き直さなければ、と私は観念した。雲行きが非常に怪しくなった瞬間だった。
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