episode17. 漆原朔也
今この場で笑顔なのは、年の割に無邪気な母だけという状況でも漆原は営業スマイルを崩さない。
美咲も信頼感はしているが、笑顔で人を手玉にとるやり口には胡散臭さを感じざるを得ない。
そんな事を思われていると分かっているのかいないのか、漆原はノートパソコンを祖父に向けた。父もばたばたと祖父の隣に座って一緒に覗き込んだ。
「かいつまんでお見せします。まずアンドロイドと裕子さんが二人暮らしを始めた約五十年前から」
漆原はいくつか並んでいた動画のうち一つを拡大表示し再生した。
そこにはまだ研究者として活躍していた二十代頃の祖母が映っていた。
アンドロイドの目で撮影されているのでアンドロイド自体は映っていないが、そこには幸せそうに微笑む祖母の姿が映っていた。
並んで料理をして洗濯をして、手を繋いで買い物をする。夜になれば添い寝をする様子はまるで同棲を始めたばかりの恋人同士のようで、これ以上のものが映ったらどうしようかと美咲は思わず目を背けた。
そしてこれを祖父と父はどんな気持ちで見ているのかを考えると、美咲は二人の顔を見る事ができなかった。
けれど漆原は動画を止める事は無く、違う動画を拡大した。
「次はこの十年後。四十年前です」
こんなに仲の良い二人の十年後となると、人間なら子供を産んで生活様式が変わっていてもおかしくない。
けれどアンドロイドは変わらない。人間が年老いてもボディは変わらず、AIは成長してもパーソナルは変わらない。こうなると人間はアンドロイドに飽きてしまい、まだ動くアンドロイドでさえ買い替え廃棄する事がほとんどだ。
よほど愛情が深くなければ何十年も傍に置く事などありえない。きっと仲睦まじい、それこそ祖父が激怒する内容が映っているだろうと誰しもが思った。
けれどそこに写っていたのは、予想に反してアンドロイドに飽きる一般的な人間の姿だった。
アンドロイドを怒鳴り散らし、愛を囁かれてもそれすら苛立ちに変わっていく。
あれだけ大切に傍に置いて愛したアンドロイドを不愉快に思いながらも手放せない。それはまるで――
「アンドロイド依存症の初期症状です。そしてさらに十年後」
漆原は別段変った事ではないかのように、ショックを受ける祖父と父を置き去りにして次の動画を再生した。
そこに映る祖母は美咲に優しく微笑んでくれた女性と同一人物だとはとても思えない暴れようだった。
物を投げつけ金切り声を上げ、傍に寄ろうとすればするほど不愉快そうに叫びまわる。けれどその内容は「同じ事ばかり言うな」とプログラム通りの行動を非難する言葉に変わっていた。
「この時点で依存症中期。そしてこの十年後」
アンドロイドの目線であるこの動画に祖母は映っていなかった。
次第に画面はノイズ混じりになり音声も消え、ガツンと殴られたような音と共に視界が傾きどうやら倒れたようだった。
そこで画面は暗転し、漆原は動画を閉じた。
(これがアンドロイド依存症……)
美咲は実際に発症している様子を見るのは初めてだった。
人間を支え助けるために作られたアンドロイドが原因でこうまで変貌を遂げる様子はあまりにも恐ろしかった。
(……だから漆原さんはアンドロイドに入れ込むなって言ったんだ……)
開発者ならその問題にこそ取り組むべきだ、等という陳腐な正義感を振りかざすのがどれほど滑稽だったか思い知った。
父を見ると、顔を青くして絶句し小さく震えていた。子供の頃に分かれた切りで記憶など薄いだろうに、それでもこの動画はショックを与えるには十分なようだった。
しかし祖父は表情を変えていなかった。
おもむろにノートパソコンへ手を伸ばすと、再び動画を再生し始める。父は止めようと声をかけたが、その手を振りほどき動画を見つめ続けた。
静まり返る部屋の中でマウスのカチ、カチ、というクリック音だけが響く。そのまま二度三度と再生し続け、五分ほどしてようやく口を開いた。
「……これと暮らしていたんじゃないのか」
「暮らしてますよ。でもまあ血の繋がった家族を殴る人間もいる事ですし、さして驚くことではありません。そうは思いませんか?」
漆原は美咲と美咲の母に手を上げ怪我を負わせた祖父に向かってにっこりと微笑んだ。
マウスのクリック音の止んだ室内には衣擦れの音すらしなくなっていた。
「では直近十年間のデータを見ましょう」
よくもそんな事を言って笑ってられるなと誰かしらが思っただろう。普段の祖父なら怒りで手を上げたに違いない。
けれど祖父は何も言わず漆原が動画を再生する指を追っていた。
「……壊れたのに何故最近のデータがある」
「さあ、なぜでしょう。それよりこれ。この動画は三カ月間に撮影された物です」
漆原は別のフォルダを開くと新しい動画を立ち上げた。
それはやはりアンドロイドの目で撮影されていて、視界には美咲が出会った祖母の姿が映っている。
だがそこに映っていたのは藤堂邸でもその近隣でもなく、この家の誰もが知る風景が映っていた。
「……ここに、来たのか……?」
「データを見る限りで月に一、二度。あのアンドロイドがどうやって藤堂邸から美咲のマンションなんて長距離を移動できたのか不思議だったんですが、おそらく――」
「お祖母ちゃんが連れて来てたんだ……」
「依存症中期は感情がマイナスに振り切れた場合、アンドロイドを捨てようとする事もあるからな」
「でも何でわざわざ私のマンションまで来たんですか?この家の前に倒れてたならともかく」
「それだよ」
「え?どれ?」
漆原はニヤリと笑うと、前触れも無く美咲の頭をがしりと掴んだ。
「ぎゃっ!」
「こいつ――失礼。美咲さんのマンションについてうかがいたいんですが、家賃の入金先はどなたですか?管理はお母様とうかがいましたが」
「お金はぜ~んぶお父さんよね~」
「俺?いや、お前じゃ無いのか?」
「え~?違うわ~。お義父様から任せて頂いた時には全部手続き終わってたし~」
「じゃあ父さんじゃないのか?」
「いいえ、違います。入金先は藤堂小夜子さんです」
確信ありとばかりに断言する漆原の自信満々な顔に久世親子はきょとんと眼を丸めた。
美咲はどうせ何か言いたい事があるんだろうと予測して漆原を見ると、やはり漆原はどや顔をしていた。
漆原はしたり顔で祖父を見やると、答えを催促するかのようにコツン、と人差指で机を叩いた。
「……何故そんな事を知っている。不動産屋が個人情報を漏らしたか」
「いえ、カマかけただけです。藤堂小夜子さんなんですね」
美咲はこの野郎、と言いかけて我慢した。
しかし美咲の母は違うことが気になっているようで、こめかみ辺りで指をくるくると回して考えてるような仕草をした。
「あの~、藤堂小夜子さんて誰ですか~?」
「……そういえば誰だろ。誰なんですか?」
久世家の事情なのに確認先が漆原である事をもはや誰も疑問に感じていない。
漆原は困った事など何も無いようで、鞄から二冊の雑誌を取り出した。それはアンドロイド開発専門誌と女性向け週刊誌で、日付は五十年ばかり前の物だった。
「久世大河議員と藤堂裕子博士電撃結婚……じゃあ藤堂って旧姓?」
「そういう事。おそらくあの家は実家で小夜子は母親か身内だろう」
「そうだったんだ。でも、あの豪邸生活をよくコラムの収入で賄ってますね。コラムってそんなにお金になるんですか?」
「まさか。生活費に色がつく程度だ。他に何か収入があるはずだ。たとえばマンションの家賃とか」
「あ、それで家賃の入金先が――……」
美咲ははたと不思議に思い首を傾げた。
何故追い出した妻の実家に入金をするのだろうか。誰を入金先にしようがそれは自由だが、それでも追い出した人間にプレゼントなどしないだろう。
おかしい、と思い漆原を見るとやはり漆原は笑っていた。
「いくつかうかがいたいんですが、あのマンション二十年前急にアンドロイド対応に改修されましたね」
漆原はまた鞄から何かを取り出した。
一体どれだけ何を用意してるんだと呆れるような感心するような、複雑な感情で漆原の手元を覗き込む。
「古い写真ですね。どこですか、これ」
「お前のマンションだよ」
「え!?これ!?嘘、全然違う……ていうかどうやって調べたんですか?どこから持って来たんです、この写真」
「商店街の片隅で創業百年を迎えた煙草屋のばあちゃんに借りた」
どこだよ、と美咲は思わず呟いた。近所に住んでいる美咲だって知らないのに、よくも見つけて来た者だと今度は完全に呆れた。
わざわざ写真という物証を用意して逃げ道を無くすやり口は詐欺師さながらだ。
「木造からアンドロイド対応なんて相当の費用が掛かるはずです。この改修を決めたのはお母様ですか?」
「いいえ~。お義父様が良い収入になるからやるぞ~!って」
「収入ですか……」
ふうん、と漆原はわざとらしく驚いたような顔をして見せた。
そしてまたわざとらしく、それは妙だな、と首を傾げる。
「一般家庭のアンドロイド所有率は三十パーセント未満。その九割を豪邸に住み別荘も複数持つような富裕層が占めているので賃貸需要なんてほぼないですよ。借りるくらいなら専用の部屋を作るでしょう。利益のために改築をするなら購入者母数の多い人間用を新築する方がよっぽど利益が良い。アンドロイド事業で儲かるのはBtoBか対富裕層顧客を抱える個人事務所だけです」
漆原は待ってましたとばかりに、口を挟む隙など与えないほどの早口で言い連ねた。
祖父は鬱陶しそうな顔で舌打ちをし、父は理解が追い付かないのかぱちくりと瞬きを繰り返している。そしておそらく理解しようとすらしていない美咲の母だけが口を挟んだ。
「でもアンドロイドだって快適なお家が良いですよ~」
「……さすが美咲さんのお母様。アンドロイドの気持ちを大切になさってる」
母は褒められたと思ったようで、きゃあ、と喜びぴょんと跳ねた。
けれどその完璧なまでの微笑みには、アンドロイドに入れ込むのは愚かだという意図が含まれているのを美咲は感じ取った。
「この親にしてこの子ありとでも思ってるんでしょう」
「おお、少しは賢くなったな」
「この野郎……」
我慢しきれず本音がぽろりと零れると、上司だぞ、と漆原も小突き返す。
こんにゃろ、と二人がやり合っていると、美咲の父がんんっと咳ばらいをした。
「うかがっても良いですか」
「もちろんです」
「アンドロイド用のマンションが珍しいのは分かりますが、利益は出ますか?アンドロイド嫌いの人間がそれでもやりたいと思うほどの利益が」
「出ませんよ。維持費が高いから販管費で赤です。それでもやるのは企業の先行投資か金持ちの道楽ですね」
「そうですよね。改修するならバリアリーフに特化しようと言ったんです。この辺りは高齢者が多い」
「ああ、そうですね。絶対にそっちです。間違いありません。失礼ですが、ご職業は不動産関係ですか?」
「ええ。家賃は不労収入だからまあいいか思ってたんですが、赤字を増やすだけの固定資産を持ち続けるのは……」
「止めた方が良いでしょうね。アンドロイドがいなければ成り立たない事業なんて個人でやるべきではありません。やるならメンテナンス業です」
「そう、それなんです。あのマンションの地下はメンテナンス施設が整っているです。ロビーでは充電もできるし保管もできます。事故や犯罪の可能性も踏まえてセキュリティも完備している。なら住宅ではなく多数のアンドロイドが一時的に立ち寄る事で収益の出る施設が良いんじゃないかと思ってるんですが、そういう需要はありますか」
「ありますよ!サブスクリプションならヒューマノイドが廃れても他のコンテンツに移行できます。実は動物型ロボットでその事業をやってみたいと思っていたんです。ヒューマノイドよりも圧倒的に需要が高い動物型なら即売り上げが出ます」
「ならスタッフを美作が廃棄するヒューマノイドを流用しては?原価ゼロなら維持費はかかっても客寄せで黒になるでしょう」
「確かに。それは良い考えですね。若手社員の開発は確実に廃棄ですし、それが人の前に立てるのなら意欲促進にもなる。いや、実は店舗を用意するには不動産の知識がなくて二の足を踏んでいたんです。どうでしょう、一度お話を」
「あの~!じゃああのマンションって建ってるだけで借金になるんですか~!?」
「あ、ああ、そういう事だな」
思いもよらず漆原と美咲の父が意気投合し話が逸れたが、話が分からず眉をしかめていた母がぴょんぴょんと跳ねて話を中断させた。
父がやけに漆原を気にしていたのはこういう事か、と美咲はようやく納得がいった。
「まあつまり赤字になるから誰もやらないんですよ、アンドロイド前提住宅は。日本全国で十九棟、都内はたったの四棟」
「そんな少ないんですか!?」
「ああ。ついでにこれは不動産会社がやり始めたんだが全企業赤だ」
「じゃあお祖父ちゃんは何でそんな物作ったの。計算できなかったの?」
何でも良いから噛みついてやりたい美咲は、ふん、と馬鹿にしたように鼻息を荒くした。
しかし漆原は、お前黙ってろ、と言って美咲を背の後ろに追いやった。
「アンドロイドのコストカットは国会の議題にもなるのに分かってないわけがない。この人には赤字を背負ってでもやりたい理由があったんだ」
祖父は何を言っても無駄だと悟ったのか、そうでしょう、と言う漆原の呼びかけには答えなかった。けれど否定もしなかった。
漆原はコンコンッとノートパソコンをノックするように叩いて祖父の目を惹きつける。
「あのマンションは裕子さんのための物ですね」
「それは、何でそうなるんですか」
「もし藤堂の家を手放さなければならなくなった場合、お前がばーちゃんの立場ならならどうする?」
「え、アンドロイド入居可の家を探します」
「そうだな。けどそれは国内で十九棟しかない。しかも久世の家に脚を運ぶなら都内から離れたくないだろう。となると七棟に絞られるが、豪邸を手放さざるをえなくなった高齢者を高額家賃のマンションが受け入れると思うか?」
「思わない……」
アンドロイドというのは、アンドロイドを使わない人間に嫌がられる傾向にある。
それはアンドロイド依存症のような病気のせいではなく、建物を傷つけるからだ。柔らかい石や金属なら少しつまずいただけで傷がつく。それが自立してるならまだしも、力のない情勢が一人で抱えて歩くなどできるわけが無い。できたとしても、想像しやすいのは転んで傷を付ける様子だ。
自分のマンションを傷つける可能性の高い入居者を歓迎はしないだろう。しかも修繕費を払えるかどうかも怪しいとなれば、受け入れる人間はいないだろう。
しかも高齢者のアンドロイド持ちは高確率でアンドロイド依存症だ。
つまり、アンドロイド所有者本人には何の謂れも責任も無く、単に周囲が嫌がるのだ。
「もう一つ、俺が気になったのは管理人がご子息ではなくその嫁という点です」
「そういや何でお母さんなの?」
「え~っと、どうしてでしょ~?」
「マンションの入居者審査をなさってるのは?」
「お義父様です~」
「お母様は裕子さんと面識がおありですか?」
「ないです~。亡くなったって聞いてましたし~」
「旧姓が藤堂だった事は?」
「初耳です~」
「なるほど。ではお母様が管理人であれば、裕子さんがあのマンションに帰って来ても久世家にバレる可能性は低いという事ですね」
「だったら何だと言うんだ!!」
ここまで黙っていた祖父が、ガンッと机を叩いて叫び声をあげながら立ち上がった。
ふうふうと呼吸を荒くする姿はいつになく焦っていて、美咲も両親も固まってしまう。
けれど漆原はけろりとしていて、それどころかにっこりと微笑む始末だ。
「いいえ、何も。ただあのマンションさえあれば裕子さんは収入に困らず、実家が無くなってもアンドロイドと生活でき、かつあなたはそれを把握できる状態が整っているなと思います。他意はありません」
何て嫌な男だ、と美咲は思った。
言っている事は分かるが、それにしても単純にイライラする。まるで子供の様に手のひらで転がされ、高みから見下ろされているような気分だ。見ている美咲がそう思うのだから言われている本人はもっとイラつくだろう。
しかし祖父はいつものように力づくでやり返したり理不尽に言い返す事もできないほど漆原の言葉に揺さぶられていた。
それが目に見えて分かるからこそ漆原はなおも話す事を止めなかった。
「さっきの動画、どうやって手に入れたと思います?本来なら自動消去されているはずの五十年前のデータです」
「知るか!」
「視覚データですよね?漆原さんがサルベージしたんじゃないんですか?」
「手元に無いアンドロイドからどうやってサルベージすんだよ。あれは送られて来たんだ。お前がD判定なんつークソな論文書き直してる間に」
「……誰からですか」
「AR-139-3-6293-0だ」
「え?それって……」
それは暗号でも何でもない。
美咲が拾った壊れたアンドロイドの型番だ。
「アンドロイドが、あの子が自分で送って来たんですか?」
「そういう事になる」
「どうして、だって所有者の許可なくそんな事できないですよ。視覚データだって、それ、あの子が勝手に残してたって事ですか?」
「さあな。けどあのあるはずの無いデータが壊れたアンドロイドから送られて来たのは事実だ」
「……壊れても……お祖母ちゃんを支えようとしてくれてたの……?」
システムは絶対だ。プログラムは良くも悪くも絶対に裏切らない。裏切れないのだ。
自動消去されるプログラムなら、例え人間だったとしても念じて残せるものでは無い。物理的に実行される。
個人へのメール送信は、所有者が許可するかそれに等しい稼働条件をクリアしなければならない。そんな事はあり得ない。
美咲の心臓はどくどくと大きく音を立てたけれど、そんな美咲はさておき漆原はなおも祖父に語り掛けた。
「美咲が裕子さんに会った事を聞いて取り乱したそうですね」
ぴくりと祖父の口元が歪んだ。
「あれは裕子さんの居場所を知りたかったのではなく、見つけられた事に焦ったんじゃないんですか?だって実家なんて分かりやすい場所、真っ先に探しに行くでしょう。あなたは知ってたはずだ。あそこに裕子さんがいる事を」
「でも追い出したんでしょ!?何を今さら慌てるわけ!?見つけられたら困る事があるっての!?」
「落ち着け。そうじゃない」
漆原はぽんぽんと美咲の頭を撫でた。
そしてノートパソコンを開いて一つの動画を開いた。それはまたもアンドロイドの視覚データで、まだ二十代だろう祖母が荷物をまとめて祖父が寝ている真夜中に家を出る様子が映し出されていた。
「美咲。お祖母ちゃんは追い出されたんじゃない。自分から出て行ったんだ」
「……そう、なの?」
「ああ。出て行こうとしていたのを引き留め続けた。だがいなくなった」
「この人は追い出すつもりも見捨てるつもりもなかった。でも戻りたく無いのなら無理に連れ戻す事もしたくはない。だから自由に暮らせるよう整えて知らないフリをしているのでは?」
漆原は背に隠していた美咲の肩を抱き前に引っ張り出した。
「壊れたアンドロイドが美咲と裕子さんを繋いだ。今度は貴方が手を差し伸べる番だ」
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