第31話 テーマパーク②
このままだと、冥界から抜け出して1週間程でリストに載る。神戸の時は、それ位でリストに載っていたからな。
「パイモン、
『ん? 今日だ。ここが楽しそうだから、
「なあ、パイモン。人間に悪させず、リストに載る前……3日後に、冥界へ帰ると約束するなら狩らずに見逃してやる」
『えっ……』
「「蓮様……」パイモンになど、優しくする必要はないですよ」
『こっちの奴は、みんなボクを狩ろうとするのに……お前、良い奴だな。ボクはパイモン。お前の名前を教えてくれ』
それは、冥界を抜け出したお前が悪い。それと、俺は良い奴じゃないから勘違いするなと言ってやった。
『誰もボクを召喚しないから仕方ないだろう! お前が、良い奴か悪い奴かはボクが決める。だから、名前を教えろ!』
こいつ……本当に悪魔か? 今まで見た悪魔と全く違うタイプだな。
「俺の名前は蓮だ」
『蓮か……友達になってやる!』
「パイモン、調子に乗るな……」
「蓮様、パイモン狩りの許可を下さい……」
サーマとアスタがキレそうだ。しかし、パイモン、何で上から目線で言うんだ? 可愛い女の子のツンデレは、需要はあるが、男のは……面倒だから嫌われるぞ。
「いや、友達にはならない。3日後、必ず冥界に帰るんだぞ。パイモン、約束を破ったら俺がお前を浄化するからな」
『お前が浄化するのか?』
「ああ、俺にそんなことをさせるなよ」
『蓮、俺を浄化するのが嫌なのか? ハハッ、友達だしな!』
パイモン……嬉しそうに笑顔で近寄って来るな。軍楽隊、何の曲か分からない演奏を始めるな!
「違う。友達じゃない! パイモン、
「パイモン、蓮様から離れろ……」
サーマが俺とパイモンの間に入ってくれるが、サーマを押しのけてこっちに来ようとする。
「蓮様……黒蛇を放って良いですか?」
アスタが、顔を引きつらせて黒蛇を召喚した。獲物として狩れば良いんだろうが、こいつ見た目も中身も子供だからな……抵抗がある。
「サーマ、アスタ、話は終わったから帰ろう。パイモン、3日後には冥界へ帰れよ」
「「蓮様……」」
『蓮……しかたないな~。友達の頼みだから聞いてやるよ』
「「パイモン!」お黙り!」
疲れたな……これ以上関わるのが面倒で、返事もせずに飛んで帰った。
マンションに戻って、時間を見て中井にメールを送った。『中井、話は終わった。先に帰ってもらって悪かった。ごめん。』
ブウゥ――、
直ぐに中井から返信が来た。
『終わったのか? 僕は2人を送って家に帰って来たから、伊藤と平野にメールしておくよ。月城、今日はお疲れ。』
その後、リストにパイモンの名前が載らなかったから、約束通りに冥界に戻ったようだ。人の話を聞かないヤツだったが……約束は守ったんだな。
◇◇◇
リビングでゲームをしていたら、複数の魔力を感じた。
「あれ、まだ昼前なのに……」
「蓮様、この魔力はパイモンです……懲りずに冥界を抜け出したんですね」
「蓮様の優しさを無駄にするとは、愚かなヤツ」
「えっ、サーマ、魔力で誰か分かるのか」
サーマは、知っている魔物の魔力は、隠してなければ分かるそうだ。便利な能力だな。パイモンと関わるのは面倒だから放置していたら、中井からメールが来た。
『月城、この前、US〇にいた女の子が学校に来ているよ。魔物の仮装をした楽団も引き連れている。森先輩が怖い顔をして相手をしているけど、お前の知り合い大丈夫か?』
えっ、パイモンは学校にいるのか? この魔力だ、森さんも魔物だと気が付くだろう……自分の魔力が分かるようになった森さんは、自分以外の魔力も分かるようになったからな。中井は、パイモンが俺の知り合いだと勘違いしているな……説明していないから仕方ないけど。
『森さんは、頼りになるから大丈夫だ。中井、そいつややこしいから、関わらずに離れた方が良い。』
ブウゥ――
中井に返事を送ったら、直ぐに別のメールが送られて来た。
『月城君、学校に複数の魔物現れたんだが……その中に人型の魔物がいて、そいつが月城君の友達だと言うんだ。写メを送るから確認してくれ』
森さんからだ……友達? 画像も送られて来た……あぁ、パイモンだ。
『森さん。俺は、そいつと友達ではありません。悪さをしているなら狩って良いですよ。ただ、そいつ、悪魔だから気を付けて下さい』
ブウゥ――
『悪魔だって!? 月城君。頼む、来てくれ!』
えっ、来てくれって……あの時、浄化しなかった俺が悪いのか? 浄化しても魂は消えず、又、こっちの世界に来た可能性はあるよな。しかし、どうして京都の学校に来ているんだ……なんか疲れたな。
「蓮様、どうされました?」
俺の様子を見て、サーマが声を掛けて来た。説明する気力もなく、メールを見せた。アスタも来て、メールの画面を見ている。
「「……」」
2人共、微妙な顔をしているな。
「蓮様、私が行って狩って来ましょうか?」
「いや、アスタ、俺が行くよ。森さんに呼ばれたから……」
「では、私にお供をさせて下さい」
「ああ、サーマ頼むよ」
◇
学校に行くと、体育館の裏側で、森さんと体育の先生がパイモンと向かい合っていた。あぁ、体育の先生は野球部の顧問だったな。パイモンは弱くなったと言うけど、これだけの魔力だ、近くにいたら嫌でも分かるか。
『蓮! 遊びに来たぞ~!』
俺を見つけたパイモンが嬉しそうに手を振る。
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