第8話 強敵
二人は黙々とコーラを飲んだ。
すぐ読みたい。すごく読みたい。
「じゃあ、続きを読もうか。ちょっと眠くなってきたから、あとちょっとだけね。このペースだと『開闢の光』を設立するところまでいけるかな。あまり解説できなくてごめんよ。」
<僕は『黒乃巣』に入った。みんな快く歓迎してくれた。特にリーダーのクロノスさんは何でも丁寧に教えてくれた。デッキに入れられそうな強いカードもプレゼントしてくれた。クロノスさんが言うには、将来有望なプレイヤーを育てたいからだという。
同盟に入ったおかげで、デッキも強くなり、応援機能のおかげで、ケルベロスにもてこずらなくなってきた。
ケルベロスより強い魔王クラスの『オーガキング』も出てきたけど、みんなでタコ殴りにしてやった。ここで、イベントでランキングがあることを同盟員に教えてもらった。僕の順位を見ると約8万位だった。
ランキングは自分の以外は1万位以内のプレイヤーのみ名前を見ることができる。
ランキング1位を見ると『ゼウス』というプレイヤーだった。
クロノスさんが言うには、『ゼウス』はずっと世界1位らしい>
「やはり、このクロノスって人も、ずっと1位は『ゼウス』だって言ってますね。本当に『プシュケ』さんが初代イベント1位なのでしょうか?」
「正直わからないけど、確かに『プシュケ』はそう言っていたよ。じゃあ、読み進めよう。」
<ここで、僕の負けず嫌いが発動した。世界1位を取りたい。『ゼウス』を超えたいと思った。
それからは、イベントで、敵を倒し、カードゲットして、デッキを強化する日々が続いた。
今のままでは1位はおろか1万位だって入れない。
同盟のみんなにおんぶに抱っこだから、せめてまず皆に頼られる存在にならないと!と僕は思った。
僕が神悪を始めて5日経った。大分デッキも強化できたし、何より今日からイベント後半戦だ。
前半終了時の途中ランキングは約6万5千位、ちょっとずつではあるがランキングが上がってきた。
イベント後半になると魔神クラスの悪魔が追加される。今回の魔神は『サタン』であった。
『サタン』もみんなで戦えば楽勝だろうと思っていた。
しかし、そう簡単にはいかなった。『サタン』を出現させた同盟メンバーから応援が来たので、攻撃してみたが、全く体力ゲージが減らない。30人ぐらい応援に駆けつけたが、3分の1も体力を減らせないでいた。
これは相当まずい。マックスレベルまで育てたデッキが通用しないなんて……
なんとかしないと……
同盟チャットでもどうにかして『サタン』を倒せないか話題になっていた。僕も参加したかったが、まだ文字を打つのが遅すぎて参加できなかった。
すると、リーダーのクロノスが、
【特攻カードを手に入れられれば勝てるかもしれない……】
その時まで、僕は特攻カードの存在を知らなかった。特攻カードは、前にも説明したが、イベント中だけ攻撃力が10倍になるカードだ。特攻カードは課金ガチャで手に入る。今回の特攻カードは
課金するには、『クレジットカードで支払う』か、『コンビニでプリペイドカードを買って支払う』か、『携帯会社の後払い決済を使用する』か、という方法があることがわかった。僕には3番目の『携帯会社の後払い決済を使用する』ことができるとわかり、いくらまで使用できるか調べると、10万円まで使用することができるみたいだった。
僕は試しにガチャ1回分のの100円を課金した。
初めてのお金を使ったガチャ……結果はハズレだった。
やはり一回では出ないか。2回、3回と回すがやっぱり出ない。
ふとガチャ画面の下の方を見てみると、『11連ガチャ
1回1000円、でもガチャ一回分お得な上に
一回一回ガチャを回すより、こっちの方がいいと思った。11連ガチャを一回引いてみた。
すると、SR『ペルセポネ』が出た!念願の特攻カードを手に入れた。
早速レベルをマックスまで上げて、デッキにいれて『サタン』に挑んだ。
!!!!
ダメージが通るぞ!一回攻撃しただけで、『サタン』の体力は10分の1以上削ることができた。
あと3回攻撃をして、見事『サタン』を倒すことができた!
この時、特攻の圧倒的な強さを知った。
『サタン』を倒したことにより『同盟』は大はしゃぎだ。
それからというもの僕は、みんなが出した『サタン』を倒しまくった。
おかげで、ランキングの順位もメキメキ伸びていった。
ただ、3000位くらいから伸びなくなっていった。やはり特攻1枚ではまだまだ時間がかかりすぎる。
でも、僕は今のままでも十分楽しかった。
初めてのイベントが終わり、最終順位は約3200位に終わった。
でも、初めてにしては大健闘したと、同盟のみんなが言ってくれた。感謝の言葉もいっぱいもらった。
僕の生きる場所はここだ。そう思った>
「いきなり、3200位はやばすぎですね。でも特攻カードに手を出しちゃいましたか……」
「自分でも、かなりいい出だしが切れたと思うよ、このときは本当に楽しかった。でもここから特攻カードの泥沼にはなることになるんだ。続けるよ。」
<イベントが終了した次の日、二人の同盟メンバーが抜けた。理由は、フレンドに誘われたからだそうだ。
そして入れ替わりで二人のプレイヤーが新しく加盟してきた。名前は『アポロ』と『メイ』>
「ここで『アポロ』さんと出会うんですね。『メイ』って誰ですか?」
「そう、ここで後の、『開闢の光』のナンバー2『アポロ』と出会ったんだ。『メイ』に関しては、よくわからない。一回もチャットしたことがなかったから。でも同盟の中で僕と『アポロ』の次に敵を倒してたよ。」
「そうだったんですね。じゃあ続きをお願いします。」
<イベント最終ランキング1000位の『アポロ』が入ったことにより、同盟はさらに活気づいていった。リーダーの『クロノス』からも一目置かれ、彼が同盟の中心的存在となった。
僕は悔しかった。前のイベントであんなに頑張ったのに、やっぱりランキングって重要なんだなと、改めて実感した。
数日後、次のイベントが発表された。イベント内容は忘れたので割愛する。
イベントが発表されたと同時に新たな特攻カードが手に入るガチャが出現した。
今回も引くべきか迷ったが、『アポロ』がすでに特攻カードを1枚手に入れたみたいだったので、僕も負けじと特攻カードを手に入れるまで、ガチャを回した。今回は5000円かかった。
運が絡むので仕方がないが、痛い出費だ。手に入れた特攻カードを鍛え上げ、いざイベント開始当日となった。
基本的にイベントの前半は魔王クラスの悪魔しか出現しないため、特攻1枚だけでも何とかなった。
僕は『アポロ』に超されないように寝る間も惜しんで、イベントを走った。
前半が終了して中間ランキングでなんと100位以内に入ることができた。
ちなみに『アポロ』は500位くらいだった。
問題は後半戦だ。魔神クラスがでると、特攻1枚ではやはり時間がかかってしまう。
しかも今回は『アポロ』も特攻カードを持っているため、他の同盟メンバーが出した魔神を『アポロ』が攻撃した場合、ポイントの獲得が少なくなってしまう。
そこで僕は特攻カードをもう1枚増やすことにした。
しかし、『アポロ』はその時すでに3枚の特攻カードを持っていた。
もうこうなったらヤケクソだ。特攻カードを5枚そろえるしかない。
僕はもうすでに特攻カードの沼にはまっていた。
結局5枚そろえるのに3万円かかった。この金額は親にばれたらヤバいと思ったが止めることができなかった。
『アポロ』も最終的には特攻カードを5枚そろえていた。
これで五分五分、イベント後半戦が始まった。
予想通り、魔神を倒す速度は各段に早くなったが、同盟メンバーが出した魔神は『アポロ』と取り合いになっていた。
同盟メンバーの魔神だけでは、ポイントが稼げないことがわかった。
そこで、僕はフレンドを集めるようになった。ただ適当にフレンドを集めるのではなく、長い時間プレイしているが、お金がなくて特攻カードを持ってない、もしくは1枚しか手に入れられないような人に絞った。
この条件に該当する人たちは自分の前のイベントの経験を踏まえてランキングをみることでわかった。大体5000位から10000位くらいの人が当てはまる。
だから僕は、イベントを進めながら、前回のイベントのランキングで5000位~10000位の人に片っ端からフレンド申請を送った。
フレンドの上限は100人で、なんとか100人埋めることができた。
おかげで、魔神の応援がひっきりなしにきた。これで狩り放題だと思った。
しかし、今度は、スタミナが全く足りなくなっていた。スタミナは5分待てば回復するが、待っている時間が惜しい。だから僕は、課金をしてスタミナ回復薬を使用し続けながらノンストップで狩り続けた。
スタミナ回復薬は1個100円、イベント終了までに約500個、つまり5万円も使っていた。
気づいたらガチャよりお金を使っていた。
でもそのおかげで、なんと、イベント最終ランキングで2位の座を獲得することができた。
1位はもちろん『ゼウス』だった。これだけ頑張っても2倍くらい点数差があった。
同盟のメンバーたちはもちろん喜んだが、いきなり世界2位になった僕を別世界の住人を見るかのような目で見るようになった。
僕はこの同盟にいても『ゼウス『には勝てない、そうだ自分で新しい同盟を作ろう。そう思った。
同盟を抜けることをみんなに報告した。リーダーの『クロノス』からは残ってくれとしつこく止められたが、最後は無理やり脱退した。
その直後『アポロ』から、俺と一緒に『ゼウス』を倒そう。そのために最強のメンバーをそろえよう、と申し出があった。
僕にとってはライバルであった『アポロ』を加盟させるのには少し抵抗があったが、そこまで言うのならと加盟を許可した。
かくして、『開闢の光』という後に最強の軍団と呼ばれる同盟が誕生した。>
「2回目のイベントで2位取っちゃったんですね。凄すぎる。だけど課金の沼にハマってしまいましたね。」
「そうなんだ、しかもこれ以降の課金額はこんなもんじゃない。僕はもう引き下がれなかったんだ。
はぁ~あわわ、ごめん眠くなってきた。今日はここまでね。じゃあおやすみ……」
光さんは寝てしまった。
続きが気になる、いい意味でも悪い意味でも。
光さんはこの後どうなってしまったんだ。
明日はバイトが休みだから、寝ないで読むぞ!
時刻は9時を過ぎたところ。
この後僕は、悪い意味で寝れない夜を過ごすことになる。
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