第9話 ナンバー2
「もしもし、あの豚キムチ丼の特盛を22時にもってきてもらってもいいですか?ありがとうございます。じゃあ失礼します。」
読む前に、読んでる途中にお腹が減ると思って夜食を注文しておいた。シェフの料理を色々食べたがやはり最初に食べた豚キムチの味が忘れられないのだ。
そういえば、ここラブホテルなんだよな……もしかしてラブホって楽園じゃね?
でも一泊いくらなんだろこの部屋?……僕はそこで考えるのをやめた。
「さて、読むか!」
<同盟『開闢の光』を設立した。『アポロ』は、メンバー集めは俺がやっておくから『ライト』はイベントに集中してくれ、と言った。次の日には定員の50名中40人は埋まっていた。
『アポロ』は、これが人徳のなす技よ、と誇らしげに言っていた。あとは、ランキングTOP50以内のやつらに声をかけてみる。と言っていた。これに関しては、ちょっと手こずったらしく、イベント当日までに8人勧誘することができた。あと1枠は、『アポロ』の提案で、初心者を入れてみてはどうだろう?ということになった。僕もそれには賛成した。初心者の選考は『アポロ』がやることになった。
僕を世界ランク1位にする方法を『アポロ』が考えたと言ってきた。
『アポロ』のアイディアはこうだ。『ライト』くんを筆頭に、上位ランカーたちがイベントを走る。それを俺や、その他のメンバーでサポートする。サポートというのは魔王や魔神クラスの敵がでたら応援に出すということだ。それを特攻カードを持ったメンバーで倒していく。
もし同盟メンバーで特攻カードが当たったらみんなで共有する。その方がお金の負担が少なくて済むだろう。スタミナ回復薬だけは渡すことができないので実費で負担してくれ、ということだった。確かにそれは願ったり叶ったりだ。
最後に、もし特攻カードを使わない時間があったら、初心者のメンバーに貸してやってはくれないだろうか?というお願いだった。まあ使わない時間ならいいだろうと思い承諾した。>
そう、僕も初心者枠として加盟して、特攻カード貸してもらったなあ。あれは最高に気持ちが良く病みつきになる。
<この作戦のおかげで、僕は世界ランク2位、同盟ランキング1位を取り続けることができた。
正直『開闢の光』の話はこれだけだ。僕は懲りずにずっと同じことを繰り返していた。もう楽しいとかではなく、やらなければいけないという強迫観念に縛られていた。僕はゲーム依存症になっていた>
く、世界ランク2がうらやましいと思っていた僕が馬鹿だった。
普通に考えれば、お金と時間を犠牲にしないと、維持できるわけがない。
最初は楽しかったかもしれないが、もう引くに引けなくなっていたんだ。
それに……
この『アポロ』ってやつは何者だ?
まあ現在でも『アポロン』という名前でいるけど。
これは馬鹿な九尾様でもわかる。『ライト』さんは『アポロ』に利用されていた。
一体なぜ?
僕は考えた。よく考えた。熟考した。頭が爆発した。
ピーンポーン
ん?誰だ?デリバリーなんて呼んだ覚えはないぞ。
「ほい、豚キムチ丼特盛ね、おまっとさん!」
前電話に出た、女性の声の人だ。外国の人かな?ちょっと肌が焼けている。
キタコレ!
夜食を頼んだのすっかり忘れていた。
「いただきます!」
モグモグモグモグ
はあ、もう旨すぎて、はい!覚醒!からの痙攣~からの昇天だわ!
僕は豚キムチ丼を一気に平らげた。
「ごちそうさまでした!」
さて考えるか。よーく考えよーお金は大事だよー
……
ん?お金?
まさか……
これは……
僕の脳裏に稲妻が走った。これが本当だとすると、光さんは……
ここで、我がスタンド『ナインビースト・フォーチュン』の第4の能力『ばーろー』が発動した。
つまり『推理モード突入』である。
僕の推理が正しければ……
光さんは『アポロ』に利用されていた。
それは一体なぜ?
そのカギは『同盟ランキング1位の報酬』の『進化石』である。ゲーム説明で説明した通り、通常、神悪では、カードを進化させるとき、進化させるカードと同じカードを吸収しなければ進化できない。
しかし、『進化石』は、どんなカードでも進化させることができる。
つまり、入手困難なレアカードも、この『進化石』があれば同じカードを持っていなくても進化させることができる。
だが、この『進化石』の真骨頂はそこではない。この『進化石』はカードであることだ。
カードであるということは、プレゼントできるということだ。
つまり、他のプレイヤーに渡すことができる。
これにより何が起こるか?『進化石』の売買である。
ネットオークションなどで『進化石』を売る輩が出てくる。
さっきも言ったが、神悪全盛期だと数十万いや20万円でも売れただろう。
同盟ランキング1位では、『進化石』を2個もらえる。2位と3位は1個だけ。それ以下は貰えない。
同盟メンバー全員に配られる。普通は一人多くても2個だ。
しかし、もし仮に、
同盟の中に同一人物のアカウントが複数存在していたら?
そう、『アポロ』はやっていたのだ!
最初に勧誘してきたとされる40人のプレイヤーすべては『アポロ』のアカウントだった。
おそらく『アポロ』は『bot』と呼ばれるゲームを自動で行ってくれるツールを使い、40台のスマホを自動操作していた。
仮に、『進化石』が1個20万だとすると、
20万×2個×40アカウント=1600万円
同盟1位を取れば一回のイベントで1600万円も儲けることができる。
本人はほとんど何もしなくても、光さんや他のランカーたちが走ってるくれるだけでいい。
仮に特攻カードをそろえてやっても十分すぎるくらいのおつりがくる。
ビジネスとしては破格の利益を生み出す。
謎が解けた。
犯人の目星もついている。
許せない。
絶対アイツだ!
そう、店長の黒野だ。
あいつはずっと光さんや他の人を利用して楽して儲けていたんだ。
自伝を盗んだのだって、見られてはいけない証拠を隠滅させるため。
それに初心者を育成していたのだって、第二の光さんのようなゲーム依存者を増やし利用するため。
もしかして、僕を『開闢の闇』に誘ったのも利用するためか?
次のバイトのときにキュウビくん臨時ボーナスあげるよ。神悪2で課金してね。
とか言ってきたらもう確定だな。
ほんとになんて汚いやつなんだ。
とっちめてやる!
ピコン!
いや待てよ。警察に出すのは後だ。
良いアイデアを思い付いた。ククク……
あ、でも『プシュケ』や『ゼウス』の問題と関係なくなくない?
確かに神悪の闇を暴いた。ただそれだけだ。
でも、これもつながっているような気がする。
まだ自伝を読み進めた方が良さそうだ。
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