7
7
何か言った方が良いような気もするけど、そこはグッと我慢。こういう時は放っておく方がいい。状況にもよるだろうけど、少なくとも今はそれが正解のような気がする。
部外者が口を挟むと、却ってややこしくなるということも良くあるもんね。だから僕はふたりのやり取りを静かに見守る。
「……ま、武器を使って戦わない理由がどうであれ、私には関係のないことだ。単に少し気になっただけだ。深く追求するつもりは最初からない」
「あたしも不毛な会話で時間を無駄にする気なんてさらさらないし。そもそも話したことが真実なんだもの。――じゃ、この話はおしまいね」
「そうだな」
どうやら話は不穏な方向へ進むことなく、無難に収まったみたいだった。
余計なことを言わなくて良かった。もし何か言っていたら、口下手で頭の回転も悪い僕じゃむしろ収拾が付かなくなっていたかもしれないもんね。
それにしてもふたりとも意外に冷静というか、サバサバした性格だなぁ。そういうところは似ているような気がする。実は生まれたばかりの頃に生き別れた姉妹だったりして。
てはは、さすがにそれはないか。顔は全然似てないし……。
「さて、ふたりにはあらためて御礼を言っておくわ。アリガトね。もし助けてくれなかったら、あたしは間違いなくあの世行きだったし」
「気にしないでください。旅先ではお互い様ですから」
「うむ、アレスの言う通りだ」
「今回の件はあたしの借りってことにしておくわ。じゃ、あたしは先を急ぐから」
そう告げると、レインさんは走って先に行ってしまった。ただ、少し進んだところで立ち止まり、こっちを向いて笑顔で手を振ってくれている。
進む方向は同じだから、またいつかどこかで会えるかも。
◆
――その後、僕らも再び街道を歩き始めた。試練の洞窟はもうすぐだ。
でも僕はそもそも洞窟という場所は書物で読んだ知識しかなくて、中に入ったことどころか見たことすらない。だから現時点では期待と不安が半々くらいだ。
そこでは何が待ち受けているのだろう? なんだか緊張してきちゃった!
TRUE END 3-3
※こちらが正史ルートです。『第4幕:勇者失格!? 試練の洞窟を守護する者』は、この続きから始まります。
◆
※アイテム『勇気の欠片・3』を手に入れました。メモをしておくと今後、役に立つかもしれません。
◆
引き続き、第4幕をご覧になる方はこちら(第4幕のパラグラフ『1』へ移動します)。
https://kakuyomu.jp/works/16816927860513437743/episodes/16816927860513742154
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます