1月13日

日が昇りはじめてすらいない、薄暗くもない、真っ暗な午前3時46分。起床。だいたい小説とかに出てくるこういう時って、薄暗いもんだよね。でもまだ外は真っ暗だった。右と左が不揃いの靴下を履いて。趣味の悪いミリタリージャケットを羽織る。色褪せたH&Mのバケットハットをかぶる。Vivienne Westwoodの財布とピンクのBicライターをポケットにねじ込んで、両耳にイヤホンを突っ込んだ。なんでかわからないけどEURYTHMICSの’’Sweet Dreams’’を流しながら、誰もいない街に転がり出た。タバコを買うためだけに、こんな時間に歩く。コンビニまでの片道20分。

寝ているのか、起きているのかもわからない。宙ぶらりんな気分のまま。愉快すぎる。


Deep Purpleの’’Hush’’を聴き終わる頃、コンビニに着いた。誰もいないレジ前に立ち、店員が出てくるのを待った。人が入ってきたら普通レジで待機するでしょ。などと考える自分はほんとに嫌な人間だな。ハイライトのメンソールが品切れだった。しょうがなくセブンスターのメンソール12mgを一箱買って外に出た。なかなかに無愛想でご機嫌斜めそうな女性の店員だった。まあ、こんな真夜中に労働するのなんて、学校に通わないといけないことの次の次の次くらいに憂鬱だと考えられるからしょうがないか。


等間隔とはいえない、なんとも無意味に、歩道を局所的に照らす街灯の下に立ち止まる。体をまっすぐ伸ばして、灰色に塗られた空を見る。鈍く重たい瞼を持ち上げ、視界を開く。目に痛い光に映し出される白い雪。不規則に舞い落ちる。揺れる。流れる。

タバコが美味しくない。私はその場でえずき、唾を道端に吐き捨てた。私の吐息か、それともタバコの煙なのか、白いモワモワはうつむいた私の頭上で、雪と溶け合い、横を通り過ぎる中型トラックに攫われてしまった。

午前4時31分。

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