閑話2

<中瀬 恵利視点>

満さんと離婚して1年が過ぎた。

私は今、実家を離れ東北の建築事務所で事務の仕事をしている。


離婚直後は自業自得とは言えショックで部屋に引きこもる日々が続いた。

虚無感、後悔、自己嫌悪、何度か自殺も考えた。

でも両親や田丸先輩の励ましもあり、私は部屋を出て社会復帰することができた。

もちろん、満さんにした仕打ちは忘れてないし今も彼への謝罪の気持ちは持ち続けている。それに自分自身のことも許せない。


ただ、こんな私を見捨てずに励まし続けてくれた両親や先輩の気持ちに報いるためにも今はただ仕事を頑張っている。

両親や先輩には感謝の思いしか無い。


ちなみにこの職場も田丸先輩が紹介してくれた。

満さんの件の直後は厳しいことも言われたけど・・・やっぱりいい人だ。


私のことを気にしてご実家の建設会社の事務職を紹介してくれた。

本当は実家の近所にある事務所を紹介してくれたんだけど、私が離れた場所で働きたい・・・一人になりたい・・・と伝えたところ、この支店を紹介してくれた。

東北の地方都市の事務所で職員は10名弱。

年齢層は少し高めだけど、逆に同世代が居ないのは今の私にはありがたい。


「中瀬さん。この書類明日までにお願いできるかな?」

「はい。わかりました。

 この量なら大丈夫かと思います」

「うん。頼んだよ」


久しぶりに配属された若手ということもあるかもしれないけど周りの職員の方々も親切で皆私に優しくしてくれた。

まぁパソコンソフトを使いこなせるのが私だけなのも親切にしてくれる理由かもしれないけど・・・(今までどうやって書類の処理してたんだろ?)


まぁそういうことで、様々な人のお陰で慣れない土地での生活もなんとか日々平穏に過ごせている。


人は一人では生きられない。

助け合って生きていくことが必要だ。

私は満さんを裏切った。

満さんと過ごしたあの幸せな日々はもう戻らないけど

私も再び前を向いて歩いていけそうです。


ありがとう。


お父さん、お母さん、田丸先輩。


そしてごめんなさい満さん。

どうぞお幸せに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る