閑話3
<田丸 澪視点>
昼下がりの会議室。
今期の収支報告を行い会議室を出たところで藤枝次長に声を掛けられた。
「お嬢・・・良かったんですか?横田のこと」
「・・・会社では田丸課長でって言ったでしょ?藤枝次長」
「あ、悪い・・・つい癖で」
「それから二人のときは敬語も禁止よ。それに・・・名前で呼んでも・・・」
「あ、あぁ」
そう言うと私から目をそらし少し慌てている。
照れちゃって何だかかわいい♪
「後、横田君のことは何度も言うけどもう良いの。
私は恵利のときに一度身を引いたわけだし・・・今更よ。
それに今の私には竜也が居るんだからそれでいいでしょ?
それとも私になにか不満あるの?」
「い、いや何も無いよ。一緒にいられるだけで幸せです」
「も もぉそういう事を真顔で言わないの!照れるでしょ!!」
藤枝 竜也次長。
私の上司なわけだけど・・・提携関係にある私の親が経営する会社から出向というかたちで役職に就いている。
彼の実家とは家族ぐるみの付き合いでいわゆる幼馴染。
ちょっと強面だけど小さい頃から私は"竜也兄さん"って呼び良く懐いていた。
竜也も私のことも"お嬢"と呼びながら大切にしてくれていた。
まぁそういうこともありうちの両親も竜也には絶大な信頼を寄せていて、私が今の会社に入社した後に父さんが私のお目付け役ということでこの会社に送り込んできた。
父さんの会社でもエース級の人材だったし現場的には助かったと思うけど・・・中々子離れできない親よね本当。
ちなみに私より6つ年上で・・・今は私の婚約者でもある。
と言っても婚約したのはつい最近でまだ社内でも一部の人にしか話していない。
私が横田君を好きだった事も知っていたし当時は応援さえしてくれていた。
それに恵利と横田くんが結婚した後は落ち込んでいた私のことを慰めてもくれたし心配していつもそばにいてくれた。
そんなこともあり兄のような存在から男性として意識するようになり・・・この間食事に誘われて告白されたときは私も自然とOKの返事をしていた。
急な告白だったし驚きはしたけど私のことがずっと好きだったんだって。
それならもっと早く言ってくれればよかったのに。
見た目は強面だけど意外とヘタレなんだから。。。
池田への制裁も色々と手伝ってくれた。
・・・あいつだけは許せなかった。
本当ムカつく。
横田君の事だけじゃない。
恵利だって私にとってはかわいい後輩だった。
それを・・・
そういえばさっき池田がうちの顧客に営業掛けてたとか横田君が言ってたわね。
あいつの会社が潰れてから随分経つけど、また懲りずに会社立ち上げたのかな?
元奥さんからの慰謝料や会社立ち上げ時の融資の返済とか借金も結構あったはずだから何か仕事はしなくちゃなんだろうけど・・・もう一回痛い目見せた方が良いかしら?
「どうかしたのか?何だか顔が怖いぞ?」
「え?そ そう?」
「何か心配事とか悩み事あるなら遠慮なく話してくれな」
「うん。ありがと。竜也は優しいね。
実はね・・・」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます