第47話 進化進化レボリューション!

前書き

今日は土曜ですし、あまり話も進みませんがもう一話更新します。




「よし! じゃあ計算するか!」


 一応は成績もよかった剣也はこういうことは得意だった。

今では普通の高校生活に戻れたとはいえ勉強をおろそかにしていたツケでついてはいけていないが。


(まず精霊の冠と黒龍の羽衣を強化することを考えよう、必要なのはBランクの錬金の種18個か)


 Bランクの錬金の種9個あれば錬金回数9回で、精霊の冠と黒龍の羽衣の進化が可能となる。

とりあえず進化だけを目指すことにしてレベルアップはまた今度にしておこうと剣也は考えている。


 ここで整理しよう、わかりやすいように目的へのロードマップを書いてみる。


 目的:精霊の冠と黒龍の羽衣を進化させる。

 ↑

 Bランク装備を進化させるためには、Bランクの錬金の種が9個*2なので18個必要。

 ↑

 Bランクの錬金の種18個のためには、Bランク装備18個、つまり錬金するためにCランク装備が180個必要。

 ↑

 Cランク装備180個のためには、錬金するためのDランク装備が1800個必要。

 ↑

 Dランク装備1800個のためには、Eランクつまり兵士シリーズが18000個必要。


 紙に書いてみて分かった。

どれだけの兵士シリーズが必要か、そして錬金回数が必要かを。

兵士シリーズの在庫は余裕はありそうだが、問題は錬金回数か。

錬金回数についても計算してみよう。


 ①Dランク装備1800個のためには、Eランクつまり兵士シリーズが18000個必要。

錬金回数は、Dランク装備を作るために9回行う必要があり、それが1800回。1800*9=16200回

しかしEランクの錬金に回数制限はなくなったため必要なのは時間だけ。

 

 ↓(16200回(回数制限なし))


 ②Cランク装備180個のためには、錬金するためのDランク装備が1800個必要。

これは、180*9回必要なので、180*9=1620回


 ↓(16200回(回数制限なし)+1620回)


 ③Bランクの錬金の種18個のためには、Bランク装備18個、つまり錬金するためにCランク装備が180個必要。

これは18*9=162回


 ↓(16200回(回数制限なし)+1620回+162回)


 ④Bランク装備を進化させるためには、Bランクの錬金の種が9個*2なので18個必要。

これは18回。


 ↓(16200回(回数制限なし)+1620回+162回+18回)=18000回



 うん兵士シリーズ18000個いるんだから、そりゃ18000回の錬金か。やべぇな。

うち16200回は無制限のたが、1800回は回数制限がある。

一日340回できるので、5日といったところか。

問題は集中力と、時間。


(とりあえずBランクの錬金の種18個を目標にするか)


 となると、残り9日で王シリーズの錬金はできるし問題なさそうだな。

一応田中さんに連絡しておこう。


ピロン♪

==================

問題ない。すべて使ってくれてもいい。

強くなれ、剣也君

==================


 田中さんからのOKももらったしやっていこうか。

そして始まるデスマーチ。

まずは、Bランクの帝シリーズ、そしてBランクの錬金の種をひたすらと作っていく。


 Bランクの錬金の種は、緑色だった。

一度の錬金に諸々含めて5秒ぐらいかかった。


 実際は集中力が切れたり食事や生理現象等でそんなハイペースでは進まなかったのでもっとかかっている。

そして日の錬金回数の上限に達したら、回数無制限のEランク錬金 兵士シリーズをひたすらと騎士シリーズに錬金していく。


(想像していたよりもきつい…)


 装備をもって、錬金し、隣において、また装備を取って錬金する。

流れ作業で心が無になっていく。


 レイナもせっせと、できたものを整理して並べていってくれているし、新しい段ボールを取りに行って僕の前に広げてくれる。

正直レイナの方がもっときついんだろうけど、なぜか楽しそうだ。


一日目 

集中力が切れてきて、頭痛が痛い。使い方間違ってる? 頭痛が痛いんだからいいだろう。

でもまだ自我を保っている。

錬金と食事とトイレぐらいしかやっていない。


二日目

一度家に帰って着替えを取りにいった。

痛みはまだあるがちょっとぐらいなら一人でも歩けた。

美鈴が、私も手伝うといって聞かないがやることもないのでお留守番させた。

怒っていた。


倉庫に帰って、錬金を開始する。

錬金という言葉がゲシュタルト崩壊した。


三日目

兵士シリーズを見ると吐き気がしてきた。

今日も錬金と食事しかしていない。

相変わらずレイナは楽しそうにせっせと働く。


サンドイッチと間違えて兵士シリーズを噛んでしまった。

歯が痛い。


四日目

錬金嫌だ錬金嫌だ錬金嫌だ錬金嫌だ錬金嫌だ錬金嫌だ。

錬金嫌だ錬金嫌だ錬金嫌だ錬金嫌だ錬金嫌だ錬金嫌だ。


五日目

悟りを開いた。

僕は錬金術師、一は全、全は一。どうやら真理の扉を開いたようだ。

すべては僕であり、僕は宇宙のすべて…。



「うぉぉぉ!!」


(あぶねぇ、向こう側に連れていかれるところだった。右足は…あるな。危うくオートメイルになるところだった)


 五日間ひたすらと錬金し続けた剣也は、心を失いかけたが目標であるBランクの錬金の種18個の完成と同時に大声を上げる。

まるで心を取り戻すように、大きな声を上げて立ち上がり、高らかにガッツポーズをする。


 5日間ずっと安静にしていたおかげで傷ももう大分よくなってきていた。


「おおーー」

 

 横でレイナがパチパチと乾いた拍手をする。


(ありがとう、本当にありがとう)


 血の涙を流しながら、剣也は手を上げて感謝を述べる。

まだ折り返し地点ということは一旦忘れておこう。出なければ心が持たない。


(長かった錬金生活も一旦は区切りか…よし!)


 そして剣也は、精霊の冠と黒龍の羽衣を手に取った。

進化させるために。


「錬金!」

 

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