第30話 王を超えた少年
「じゃあ、愛さんいってきます!」
「はーい、いってらっしゃい!」
申請を済ませ、今日もダンジョンに潜る。
昨日は、佐藤のせいでばたばたしたが、実は僕の装備はレベルアップを繰り返して進化していた。
そのおかげで佐藤の王シリーズの装備を上回れたのだが。
「ステータス!」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
名前:御剣剣也
DP:30300pt
職業:錬金術師
・錬金Lv12:次のレベルまで100万pt
(ランクBの武器を日に10回錬金できる:知力10に付き+1回)
◆装備品
武器:【斬破刀Lv1】
頭 :【精霊の冠Lv1】
胴 :【帝の胸当てLv1】
手 :【帝の小手Lv1】
足 :【帝の具足Lv1】
アクセサリー:【ゴブリン将軍の首飾りLv8】
◆ステータス
攻撃力:0(+1400)
防御力:0(+400)
素早さ:0(+400)
知 力:0(+500)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これが今のステータス。
大幅に装備は変更された。
日本刀は、斬破刀に進化し攻撃力を+1000してくれる。
王シリーズは、帝シリーズへと変貌を遂げ400の能力補正。
どちらもBランクの装備となっている。
うすうす感じてはいたけれど、やっぱりこのシリーズだった。
王の上は、やっぱり帝だよね。
このシリーズは、シリーズと言いながら売られているのを見たことがない。
このレベルになると一般人ではなく、国や軍が買い占めることになるらしい。
それこそ兵器として。
30階層の後半に出現する装備品。
つまりは金級冒険者の中でもプラチナ級冒険者に近いものしか見ることができない装備品だ。
400ものステータスアップは、佐藤の装備していた王シリーズを簡単に越え、もはや剣也はソロで30階層まで到達できる。
でも僕は今、1~10階層を周回している。
なぜか? それは。
「ふぅ、これで10回、もう慣れたもんだな。にしても何度見ても気持ち悪いな」
ゴブリンジェネラルを片手間で切り伏せて、銅の宝箱を開けた剣也が手に取ったのはゴブリンの首飾り。
ダンジョンポイント獲得量を1.1倍してくれる装備品だ。
実は、前回スキルアップした剣也の次に必要なDPはなんと100万DP。
周回で稼ごうとしたら何年かかるんだ? と思うほどの量。
そこで閃いた剣也は、この首飾りの進化を行ってみることにした。
そしてその企みは成功し、ゴブリンの首飾りは見事ゴブリン将軍の首飾りへと進化した。
「よし、ここで錬金していくか」
レベルアップ♪ ゴブリンの首飾りLv2
レベルアップ♪ ゴブリンの首飾りLv3
・
・
レベルアップ♪ ゴブリンの首飾りLv9
進化♪ ゴブリン将軍の首飾りLv1
「よし、できた!」
できた首飾りを見ると説明が表示される。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
装備説明
・ゴブリン将軍の首飾り Cランク レア度★
DPの獲得が3倍になる(Lvによる変化なし)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「よし、あとは…」
そして、ゴブリン将軍の首飾り同士を錬金する。
レベルアップ♪ ゴブリン将軍の首飾りLv9
「今日は、ここまでにして帰るか」
ゴブリン将軍の首飾りは、なんと3倍のDP獲得量になる。
破格の性能だと思うが、見たことも聞いたこともないので誰も持っていないんだろう。
それに、まだ進化が可能のようだ。
だから僕はこの気持ち悪い首飾りを100個集めてゴブリン将軍の首飾りをさらに進化させようと思っている。
まだ進化が可能といったのは、実は進化ができなくなった装備があるからだ。
それが、帝シリーズ。
錬金しようとすると、『この装備はこれ以上進化できません、注意してください』というアナウンスが流れた。
レベルを上げることはできるようだが。
そこで気づいたことがある。
精霊の冠は、まだ進化が可能のようだ。
二つの違い、それはレア度。
帝シリーズは、Bランク装備だがレア度は★一つ。
精霊の冠は、Bランク装備だがレア度は★2つ。
きっとこのレア度が、その装備がどこまで進化できるかどうかを表しているんだろう。
サンプル数が少なくて推測だが、仮に僕の推測が正しければ★1は最高Bまで、★が増えるごとにその上にいけるはず。
(まぁただの憶測だけど…)
そして剣也は、ダンジョンを後にして、十畳一間の我が家に帰る。
(明日には、進化しそうだな。でもやらなきゃいけないことも多いし忙しい)
ギルドの設立や、納品の準備、ダンジョン探索とやることはいっぱいの剣也。
今日もくたくたで家に帰る。
騒がしい二人が待っている我が家に。
「ただいまー」
ドアを開けて、家に入る。
靴を脱ぎ、いつものお帰りの声をまつ。
だいたいそろそろ奈々が「おかえり、お兄ちゃん」と走ってくる。
もしくは、美鈴が「おかえり、ダーリン、お風呂にする? 私にする? それともモ・ヤ・シ?」とかふざけてくるころなのだが今日はどうも聞こえない。
その代わり聞こえてきたのは…。
「おかえりなさい、剣也君」
抑揚がなく、感情もなく、聞きなれてもいない声が、聞こえる。
でも確かに聞いたことのある透き通った声だった。
靴を脱いで、顔を上げる剣也。
その声の主と目が合った、剣也は空いた口が塞がらない。
だってその目は、吸い込まれるような美しい青色だったから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます