ヤングケアラー・ハナは、奮闘中!②~車いすサッカーをする子の悩みを聞いて、理系女子のセクハラ(アカハラ)ケアも、やっていきたい!~
第9話 ヤングケアラーには、理系女子の悩みが、聞こえてきちゃったんだよね。弱い立場の、涙。こういうのって、パワハラ?セクハラ?
第9話 ヤングケアラーには、理系女子の悩みが、聞こえてきちゃったんだよね。弱い立場の、涙。こういうのって、パワハラ?セクハラ?
「理系、かあ。女性が、少ない気がする。ここに、女性の泣かされる理由が、眠っているんだろうなあ…」
SNSの訴えた声は、こんな感じ。
「研究機関で、セクハラを受けました」
「女性が、軽く、扱われすぎます」
「学問の場で、女性は、泣かされる」
「でも、まわりとは、戦えない」
「誰にも、言えない」
「言えない」
「この、悪循環」
学問の場の、やるせなさ。
研究者で、こんな女性がいるという話を、聞いた。
「君、君?」
「はい」
「今日の、君の論文発表は、良かったよ」
「ありがとう、ございます」
「データが、良い」
「ありがとうございます。いや、礼は、データに言わなければなりませんけれど。信頼できる機関から提供してもらえた、データですから…」
「そうかね」
「ええ」
「ちょっと、一杯、どうかね?」
男性の名誉教授に、酒を飲む仕草をされてしまった。
「…」
「美味しい食事を、ご馳走しよう」
「でも…」
「今日の、ご褒美だよ」
「…ご褒美」
「良いじゃ、ないかね」
「…でも、教授」
「学問には、柔軟性が、必要だよ?」
「そうですね…」
論文の発表を、ほめてもらえたのだ。夕食に誘われるというのも、不自然な流れではなかった。
誘われた女性には、選択肢が、これしかなかった。
「お供いたします」
立場の、違い。
女性は、研究者。
男性は、名誉教授。
雇用形態も、違っていた。
彼女は、有期雇用の、非常勤。
男性は、無期雇用の、常勤。
これは、民間の会社でいえば、新卒一括採用を受けられた正社員と、就職氷河期で泣かされ続きとなった、契約社員などの、有期雇用者の関係のようなものかも。
断ったり、逆らうことなんて、できるはずがなかった。
「…いやあ、ワインが、美味しいねえ」
「ええ、そうですね」
「君?もっと、笑いなさい」
「…」
レストランでの女性は、なかなか、笑うことができなかった。
「私が働ける契約は、延長してもらえるんだろうか?」
正直、女性にとって、こういうワインは、どうでも良いかった。
「私って、何なの?」
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