第5話 コロナ禍での言葉は、過激。いろいろあって、その子の人生を変えた車イスサッカーとの出会いって、どんな感じだったんだろう?

 こんな言葉って…、どうなの?

 「コロナ禍に勝つために、皆で集まって、ワイワイ、障害者スポーツを、がんばっちゃっているんですか?気楽な趣味、ですよね」

 気楽な、趣味?

 コロナ禍での言葉は、過激。

 「今は、コロナ禍ですよ?他の人に迷惑をかけちゃうかもしれないなあって、思わないんですか?」

 迷惑?

 「社会のまわりの人は、今、ほぼほぼ、運動を控えているわけでしょう?」

 「…」

 「汗をかいて、声を出して、飛沫感染になっちゃうんじゃないですか?」

 「…」

 「今は、コロナ禍なんですよ?わかっているんですか?」

 「…」

 傷付くよ。

 「障害者スポーツって、やっぱり、道楽」

 「自分だけ良ければ良い、発想運動」

 「コロナ禍でもがんばっていますよっていうアピールをしたいだけなんじゃ、ないんですか?もっと、感染のことを、考えてください」

 そこまで言われてしまえば、誰だって、落ち込むよ。

 悩むよ。

 電動車イスサッカーに出会ったのは、アスリート友達が、特別支援学校に入学して、間もなくだという。

 「そもそもが、特別支援学校に入るコースで良いのかと、迷ったものです。中学も、途中までは、一般の学校に通えていたんですからね」

 が、中学に通う途中で、学校を変える事情が出たそうだ。

 「身体の調子が良くないことは、わかっていました。中学校で、つまずきました。中学校のクラス担任は、いわゆる、新卒のヒヨコちゃん。大学出たての、お坊ちゃま。マニュアル担任。限界を、感じちゃいました。救いを探しに、特別支援学校に編入学する道を選んだんですよね」

 ハナのような、中学校に通いながら、誰かを介護していた子には、痛すぎる話だった。

 杖歩行から、車イス移動に、切り替えたそうだ。

 特別支援学校に移ってから、車イスでの移動を練習していたんじゃ遅すぎると、感じたかららしい。

 「私は…。運が、良かった。特別支援学校の先生は、中学のクラス担任のような新卒脳で動いているわけじゃなかった。弱い立場の人の気持ちに、寄り添ってくれました。こちらにも、生きる力が、出たものです」




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