第3話 ヤングケアラー、失格。以前、ある日本の内閣総理大臣が、オリンピック選手たちに言った。「せいぜい、がんばってください」

 「ハナさん?」

 「はい」

 「私、参っちゃった」

 「何が、あったんですか?」

 「聞き方、聞き方…」

 「聞き方、ですか?」

 「特に、コロナ禍だと、悩まされちゃう」

 「はい?」

 その人は、この言い方をされて、悩まされていたという。

 「障害者スポーツ、ですか。気楽」

 「コロナ禍でも、がんばりたいの?」

 「せいぜい、がんばってください」

 言葉は、残酷だ。

 ここで、ちょっと、休憩!

 あなたは、こう言われたら、どう思いますか?

 「せいぜい、がんばってください」

 どう、感じる?

 頭に、くる?

 きっと、こう思われていたんじゃないのかと感じたんじゃない?

 「…まあ、あなたは、あなたなりに、身の丈あわせて、適度に、がんばってくれれば良いよ」

 たしかに、いやだなあ。

 でもね…?

 「せいぜい、がんばってください」

 これって、漢字で書けば、こうだから。

 「精々、がんばってください」

 元々は、軽い意味ではなかった。

 精神、気持ちを込めて、全身全霊で、がんばってくださいね!っていう意味の、言葉だったんだね。

 だから、高齢世代と、それ以下の世代とでは、受け止められ方が違っちゃう。

 「せいぜい、がんばってください」

 高齢世代の人は、良い意味の言葉だと思っているので、フツーに、言ってくる。このフツーの言い方が、高齢の方以下の世代には、ムッとくる。

 「何が、せいぜいだ!」

 「失礼だ!」

 それが、高齢者だと…?

 「せいぜい、がんばってくださいだと?」

 「そりゃ、どうも。ありがとう」

 あ…、怒られないぞ?

 「せいぜい、がんばってください」

 世代によって、意味が違うんだね?

 以前、ある、日本の内閣総理大臣が、オリンピック選手たちに向けて、こんな声がけをした。

 「せいぜい、がんばってください」

 その内閣総理大臣は、他人の気持ちが、わからず。困っちゃったね。

 高齢以下の世代は、反発した。

 「おい、おい。あの総理大臣は、失礼じゃないか?何が、せいぜいがんばれだ!」

 おかしな話、だ。

 「せいぜい、がんばってください」

 それって、元々は、誰かをねぎらう言葉だったんだね。

 ヤングケアラーは、言葉の介護もしなくっちゃならなくなる?




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